スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
1番大谷翔平と2番トラウト。
2人の至宝を生かすための提案。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2019/03/16 11:30
昨シーズン、3試合連続ホームランを放った大谷翔平を祝福するマイク・トラウト。
9番、1番打者の出塁率が低い。
'18年のトラウトは2番を打つことが多かった。他球団を見ても、「2番打者最強説」を採るチームは少なくない。ヤンキースのアーロン・ジャッジ、アストロズのアレックス・ブレグマンなどが典型的な例だ。
ただ、ジャッジやブレグマンは、塁上に走者を置いて打席に立つ割合が高い。ジャッジは498打席のうち220打席(44%)、ブレグマンは705打席のうち292打席(41%)が、走者のいる局面だった。
ところがトラウトは、608打席のうち377打席(62%)を無走者の状況で迎えている(走者がいたのは231打席=38%のみ)。
これはもったいない。原因はいうまでもなく、トラウトの前を打つ9番打者や1番打者の出塁率が低いからだ。
'18年にエンジェルスの1番打者をつとめたのは、コール・カルフーン(出塁率=2割8分3厘)、イアン・キンズラー(同3割4厘)、ザック・コザート(同2割9分6厘)というヴェテラン勢だったが、いずれも合格点にはほど遠い。これでは、トラウトの孤立無援が指摘されても致し方ない。
いっそ大谷を1番にしては?
では、エンジェルスの新監督ブラッド・オースマスに秘策はあるのか。
いまのところ、1番打者の最有力候補は、昨年出現した24歳の三塁手デヴィッド・フレッチャーだ。'18年のフレッチャーは307打席で3割1分6厘の出塁率を記録した。伸びしろは期待できるが、いかんせん四球の数が少ないし、パンチ力も足りない。
もうひとりの候補アンドレルトン・シモンズの場合は、「打ちたがり」の癖が前面に出すぎているのが気になる。600打席で3割3分7厘の出塁率は悪くないが、野球的知性と辛抱強さに改善の余地がある。四球35個という数字も物足りない。
ならばいっそ、大谷翔平の1番起用という案はどうだろうか。
'18年の大谷は、367打席で3割6分1厘の出塁率を記録した。300打席以上の打者では、トラウトに次いでチーム2位だ。三振の数が多い(102個)のは問題だが、四球の数(37個)はシモンズより多いし、長打力は図抜けている。盗塁10個もシモンズと肩を並べる(トラウトは24個)。