Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

<密着ドキュメント>
イチロー「その“狂気”を笑わば笑え」

posted2019/03/15 11:00

 
<密着ドキュメント>イチロー「その“狂気”を笑わば笑え」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

text by

小西慶三

小西慶三Kezo Konishi

PROFILE

photograph by

Naoya Sanuki

 試合に出られなくても、徹底的に野球に打ち込む。  それは外野から見れば「Crazy」かもしれない。  取材26年目の番記者が、逆風に挑む騎士の核心に迫った。

 19度目のキャンプ初日、ウォームアップでは集団の中央、先頭を走った。しなやかさ、軽やかさは20近く年が離れた同僚に混じっても目立った。キャッチボールのボールの伸び、フリー打撃での打球の強さも相変わらずだった。キャンプイン時の体脂肪率はチーム最低値の7%だ。しかも、その数値は10年以上変わらないという。

 マリナーズのキャンプを訪れた福良淳一・前オリックス監督と、高橋由伸・前巨人監督が口をそろえた。

「全然変わらないですね」

 福良氏は25年前、イチローが初めて日本球界で年間200安打の壁を打ち破ったシーズンで1、2番コンビを組んでいた。3月18日の巨人対マリナーズの中継で解説者デビューする高橋氏は、イチローより2歳若い。ちなみに新たにチームメイトとなった菊池雄星の恩師、花巻東高の佐々木洋監督が高橋氏と同じ43歳だ。

 イチローの健在を毎春のキャンプで確かめるのが、何年も前から恒例になった。だが、ふと周囲を見渡してみれば、それが当たり前ではないことが分かる。

 3月5日のパドレス戦では、珍しい対戦も実現した。

 パドレスの先発カル・クワントリルは1990年代後半から2000年代中盤までヤンキース、ブルージェイズなどで活躍した救援投手ポール・クワントリルの息子だ。同年代ライバルの息子と同じフィールドでプレーしたケースは、マーリンズ時代からの同僚ディー・ゴードンら何例かあるが、父子ピッチャーそれぞれと相対したのはイチローにとっても初めてだ。

 父ポールに手を引かれ、2001年にシアトルでのオールスターを訪れていた少年カルが、その18年後、オープン戦マウンドでイチローと再会した。

「去年、ノモさん(野茂英雄)からもらったグローブがこれまで最高の宝物だったけど、今日の体験も同じくらいの宝物になる。20年近くも前にオールスターで見たあのイチローに、僕がいまだに外の真っ直ぐを投げている」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。

イチロー
シアトル・マリナーズ

MLBの前後のコラム

ページトップ