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<ロッカールームの51番>
カップ麺とスパイと「BS」と。

posted2019/03/16 17:00

 
<ロッカールームの51番>カップ麺とスパイと「BS」と。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

text by

小西慶三

小西慶三Kezo Konishi

PROFILE

photograph by

Yukihito Taguchi

 今年のキャンプでは笑顔が少ないものの、仲間たちに見せる表情はまた異なるようだ。  チームの「日本文化発表会」でイチローは……。

 イチロー、あまり笑わないですねえ……。複数のカメラマンが言っている。いずれもイチローを以前から撮り続け、その喜怒哀楽を記録してきた人たちだ。

 確かに、今年のキャンプは彼がはじけた様子を見せた記憶がほとんどない。初日に「僕にとって大きな記念日」と話したときも、笑顔ではなかった。その後の取材でも談話は少なめだ。こちらの質問が要領を得ないこともあるだろうが、いつも以上に多くを語りたがらない気がする。その表情が柔らかくなるのは、新加入の菊池雄星について話すときくらい。何か線引きをしているのだろうか。思い当たるとすれば昨季までと違う立場、「マイナー契約のキャンプ招待選手」であることか。

 東京での開幕戦に、イチローを連れて行く。よほどのアクシデントがない限り――ジェリー・ディポトGMが去年のシーズン後にそんな見通しを明かしてからというもの、イチローが2019年を開幕メジャーで迎えるのは既定路線と思われている。しかし、当事者であるイチローが、GMの話を当然と受け止めるかどうかは別の話だ。

 彼は日米通算で誰よりも多くのヒットを打ってきたにもかかわらず、次の1本を出す難しさは変わらないと考える。そういえばリーグMVP、新人王を同時受賞し、一躍その名をメジャー球界に轟かせた'01年の翌年のキャンプでは「レギュラーを奪いにいく」と本心から言っていた。周囲が「あのイチローなら当然」と思っているようなことが、本人にとってはそうでないことが実は過去にもしばしばあった。あと数本で200安打の大きな節目に届く。残り試合数を考慮すれば達成は間違いない……そんなときでも、イチローの顔が大台に到達する前に緩んだことはなかった。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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