バスケットボールPRESSBACK NUMBER
日本のエース・比江島慎でも控え!?
好調の栃木ブレックスが持つ「強み」。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2019/03/15 08:00
2月のW杯アジア予選Window6ではイラン戦24得点、カタール戦12得点とエースとしての力を見せた比江島。
確固たるチームカルチャー。
この状況の中、今シーズンの彼らの強さは何に支えられているのか。
それはブレックスが、HCが代わっても、メンバーが入れ替わっても、大切にしてきたものがチームに息づいているからに他ならない。
ルーズボールやリバウンドには泥臭く飛び込む。粘り強いディフェンスを見せる。そして、それを良い形でオフェンスにつなげる。
誤解を恐れずにいえば、中学生や高校生が部活の先生に口酸っぱく言われるような、基本的な内容である。ただ、そんなチームのカルチャーについて、Bリーグの初代王者に輝いた夜に田臥はこう力説していた。
「中学生、高校生が頑張ってやっていることを、プロの選手がやらなくていいわけがない。プロになったからこそ、そういうことが泥臭くできないと、ダメで。そこから先に色々なプレーは生まれると、僕は信じています」
シーホース戦で光った一体感。
ブレックスが大切にしてきたものは、3月第2週のシーホースとの対戦でも輝いていた。
3月10日に行なわれた2戦目、第1クォーターの残り3分40秒を切ったころだ。
シーホース西川貴之がボールを持つが、ブレックスの守備の要である遠藤祐亮がマークを外さない。攻撃側に与えられた24秒のクロックが減るにつれ、ブレックスアリーナ宇都宮のファンは沸き立つ。そして、24秒オーバーを告げるブザーが鳴り響いたとき、アリーナは大歓声に包まれた。
西川にボールが回ってからおよそ10秒近くも自由を奪った遠藤は、チーム全員がプレッシャーをかけた結果だったと謙遜する。ただ、大歓声でコートを包み込む、本拠地のファンの存在については胸を張った。
「他のアリーナでは、オフェンスで華のあるプレーが出たときに『おー!』と盛り上がる感じだと思います。ただブレックスのファンは、ルーズボールの競り合いや、あの場面のように相手からボールを奪いきれなくても沸いてくれます。そういうときに『あぁ、自分たちのプレースタイルをわかってくれているんだな』と感じます」
チームのスタッフや選手だけではない。ともに戦うファンまでもが一体になって、ブレックスは作られている。
だから、強い。
田臥や喜多川ら中心選手を欠いてもなお、ジェッツとのハイレベルな上位争いを続けられるのである。