【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
W杯出場を決めた日本バスケが、
社会現象になるため必要なもの。
posted2019/03/11 07:30
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
AFLO
先日、バスケットボール日本代表が、アジア地区予選2次ラウンドで好成績を収め、ワールドカップ本大会への出場を決めました。
13年ぶりの出場が懸かったアウェイのカタール戦は地上波で中継され、大差で勝利。凱旋帰国する日本代表を迎えようと、約200人のファンが空港に詰めかけました。その後再開したBリーグでも、満員の会場が続出するなど、大きな盛り上がりを見せています。
3年前に始まったBリーグの観客動員数は毎年増え続けており、対昨年比4%増。チーム別だと最も増えた川崎ブレイブサンダースは約22%の増員となっています。SNS戦略も成果が見え始め、Bリーグの公式Instagramのフォロワーは10万人目前までになっています。
ただスポーツの枠を超えた、いわば社会現象として盛り上がっているかといえば、まだまだその段階ではないようにも感じています。
バスケットボールは、今よりももっと大きな、社会現象レベルへと成長していけるスポーツなのではないか。その意味で、個人的に最も注目している競技です。
バスケの情報はまだ足りない。
とはいえ、世間に流れているバスケットボールの情報量はまだまだ足りないと感じます。たとえば、バスケにとってW杯がどのような位置付けの大会なのか。開催地はどこなのか。どんな国が参加していて、アメリカ以外ではどの国が強いのか。五輪との関係性はどうなのか。バスケファン以外で正確に理解している人はどれくらいいるのでしょうか。
ワールドカップは8月31日から9月15日まで、中国で開催されます。前回大会はスペインで開かれ、優勝はアメリカ、準優勝はセルビアでした。出場国は、開催国を含めて32カ国。この大会で、アフリカ、アメリカ、アジア、欧州、オセアニアの5地区それぞれで1位となったチームは来夏の東京五輪出場権が与えられます(アメリカ、欧州地区は2位も)。
五輪開催国である日本に出場枠が与えられるかどうかは、3月末のFIBA理事会で決議されます。もし承認されなかった場合、W杯で好成績を残すことが条件となり得ます。
……といったことは今回、調べて初めて整理できました。そして「ワールドカップ出場が決まった」ことを「東京五輪出場が決まった」と勘違いしていた人も、周りには何人もいました。