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高木美帆「みんなで抜いた」世界新。
小平奈緒、コーチ、強敵への感謝。 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byTakao Fujita

posted2019/03/14 08:00

高木美帆「みんなで抜いた」世界新。小平奈緒、コーチ、強敵への感謝。<Number Web> photograph by Takao Fujita

帰国後、高木は2月の世界スプリントの500mで得た発見が今回の記録にもつながったとコメントした。

25日間で11レースに挑んだ布石。

 快挙には布石もあった。2019年に入ってから高木美は2月7日から3月3日までの25日間で、世界距離別選手権、世界スプリント選手権、世界オールラウンド選手権と、3つの主要大会に出場し、計11レースで勝負に挑んでいる。

 カナダ・カルガリーでの世界オールラウンド選手権の直後は疲れがたまっていたが、時差がほぼないソルトレークシティーに入ってからはスタッフの尽力も得てリカバリーに集中し、急速な回復を見せていた。

 布石とは、W杯ファイナルの初日のレースだ。小平奈緒と同走になった女子1000mで自己ベストを1秒近く縮める1分11秒71を出し、小平に競り勝って一時首位に立っていたことである。直後にブリタニー・ボウ(米国)に抜かれて2位となったが、高木美はこのレースで手応えをつかんでいた。

「1000mでは、その先に行く道があると感じました。1周目がもうすこし速かったらなというところです。1500mではこの反省を生かして、どこまでいけるか」

 そう言いながら、「きょうは面白かったな」と言葉を弾ませていたのだ。

平昌後は気持ちが上がらなかったが。

 決して順風満帆なシーズンではなかった。今シーズンの開幕直前だった昨年10月上旬のこと。平昌五輪で金銀銅メダルを手にするなど、昨シーズンに最高の成果を得たことで、気持ちが上がらない状態に苦しんだ。

 きまじめな性分の高木美にとっては、さぞかし居心地の良くない毎日だっただろう。ヨハン・デビットコーチに心境を吐露したこともあったという。

「ヨハンコーチには『そんなものだよ』とは言われるんですけどね。でも、自分としては何か、そうあってはいけないというような先入観がある。それが葛藤になっているという感じですかね」

 そんなふうに話していた。

【次ページ】 小平とのリスペクトある戦い。

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