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米国修行で次々と室内日本記録更新。
中・長距離ランナーの新たな強化法。 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byAyako Oikawa

posted2019/03/10 09:00

米国修行で次々と室内日本記録更新。中・長距離ランナーの新たな強化法。<Number Web> photograph by Ayako Oikawa

BTCのコーチ、ジェリー・シューマッカーと肩を組む遠藤日向(左)と荒井七海(右)。

肌で感じたプロ意識の高さ。

 同クラブのエース、エバン・ジャガー(米国。日本では「イェーガー」と表記する例も)は、アフリカ勢のお家芸ともいえる3000m障害という種目で、2016年のリオ五輪で銀、そして翌年のロンドン世界陸上で銅メダルをとった選手だ。

「週3回のウェイト練習の際にエバンは一つ一つの動きを丁寧に、正確に取り組んでいます。だから皆よりも終わるのもとても遅いんです。エバンの真剣な姿勢を見て、こういうところから綺麗なフォームだったり、強さが出るのかなと思います」(遠藤)

 荒井は生活でのプロ意識の高さを挙げる。

「彼らはあたり前に競技中心の生活をしています。競技に不必要なことはしない。お酒は絶対に口にしないし、陸上にマイナスになることもしません。とても合理的。彼らは世界を目指しているので、常に高い意識で競技に取り組んでいるように感じます」

「速い選手と練習してみたい」、「どんな練習をしているのか知りたい」という気持ちで海外のチームに短期で参加し、練習する日本人選手は多くいる。

 しかし異なる環境、言語で練習することに精一杯だったり、表面的な部分にしか目を向けず、彼らがなぜ速いのかという本質的な部分に気がつかない選手も多い。

 遠藤と荒井は「学ぶ姿勢」と「鋭い視点」を持つ。それが結果に反映されている。

ドーハ世界陸上、そして東京五輪へ。

 今年はドーハ世界陸上、来年には東京五輪を控え、BTCのメンバーたちも徐々に臨戦モードに入ってきている。荒井は「まず国内でしっかり勝てるようにしたい。そうすれば世界につながってくると思います」と足元をしっかり見つめる。

 一方、遠藤は、憧れのジャガーが20歳で世界陸上の代表になったことを知ると、「僕も20歳なので、今年行けるように頑張らないと」と意気込む。

【次ページ】 「焦らないでじっくりやる」

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