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米国修行で次々と室内日本記録更新。
中・長距離ランナーの新たな強化法。

posted2019/03/10 09:00

 
米国修行で次々と室内日本記録更新。中・長距離ランナーの新たな強化法。<Number Web> photograph by Ayako Oikawa

BTCのコーチ、ジェリー・シューマッカーと肩を組む遠藤日向(左)と荒井七海(右)。

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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Ayako Oikawa

 東京五輪まで1年半。

 2019年に入り、陸上競技の室内大会で多くの日本新記録が誕生している。

 その中で注目したいのは、アメリカで武者修行中の中・長距離選手たちだ。

 2月8日ボストンで行われた室内試合の5000mで遠藤日向(住友電工)が13分27秒81、松崎璃子(積水化学)が3000mで9分00秒86、そして2月24日には荒井七海(HONDA)が1マイル(1600m)で3分56秒60とそれぞれ日本新記録を樹立した。

 3選手に共通するのは、彼らが現在、世界でもトップクラスの陸上チーム、『バウワーマン・トラッククラブ(Bowerman Track Club、以下BTC)』で指導を受けている点だ。

メダリストを量産する、世界トップクラブ。

 マラソン日本記録保持者の大迫傑が所属する『ナイキ・オレゴンプロジェクト』が、日本人にもっとも知られている海外チームだが、そのライバルチームとも言えるのが『BTC』だ。

 同チームのヘッドコーチ、ジェリー・シューマッカー氏は、ウィスコンシン大学でコーチをした後、『ナイキ・オレゴンプロジェクト』のアシスタントコーチに就任。その後、現在のチームを発足させた。

 教え子クリス・ソリンスキーを、非アフリカ人選手として史上初めて1万m26分台で走らせたほか、3000m障害からマラソンまでマルチな種目でメダリストを育てる名将だ。

 1マイルの日本新記録を出した荒井は東海大学出身の24歳。学生時代は1500mで日本選手権を制しているが、箱根など大学駅伝では目立った走りはしていない。そんな荒井がBTCで練習を始めたのは今年の1月3日。1月はコロラドで高地合宿、2月からはチームの本拠地、オレゴン州ポートランドで練習を行ってきた。

【次ページ】 メダリストに土をつけた荒井のスパート。

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