【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
地方プロスポーツクラブへの投資が、
地域創生の種になる理由とは?
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2019/03/06 07:30
昨年12月、岩手ビッグブルズのホームアリーナで行われた島田社長による特別講演会には、多くの関係者が集まった。
地域クラブはスタートアップ企業と同じ。
みなさんには、最初はベンチャー企業と同じように考えていただいてもよいかもしれません。海のものとも山のものとも分からない状況のスタートアップ企業と、「うちのチームは弱くて、観客も入っていない」といった脆弱なクラブは、似たような状況です。
スタートアップ企業も税制優遇を受けたり、ベンチャーキャピタルがついたり良いアイデアを持っていますが、事業化するだけの経験がない……といった場合も、サポートを受けることで一躍日本のトップ企業へと成長することもあります。それと同じでクラブも自分たちで育てていくのです。
私が地域におけるプロスポーツの価値を説き、地域スポーツクラブを使って地域創生することに、なぜ、こだわるのか。
存在意義をどう表現するか。
スポーツには当然ながら勝ち負けがあり、事業規模によって差も生まれます。ただ、勝敗だけに執着するならば、勝利至上主義の実業団時代と変わらないのではないかと考えているのです。
かつて実業団スポーツは社員の士気高揚や自社名を積極的にPRし、狭い世界で自社をプロモートすること、社員の一致団結を目的にしていました。
ただ、日本全国にプロスポーツクラブが点在する現在、勝利至上主義で勝敗にフィーチャーしても、優勝するのは至難の業で上位進出も数チームしかないという現実があります。そのなかでどのようにクラブの存在意義を示し、生き残っていけるのか――。
生き残ることだけを目標にすれば、一つ間違えば地域にとって単なるお荷物になってしまいます。では、そうならないためにどうすればいいのか。長期的な地元の支援やサポートを受けるために必要なものは何なのか。