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<次期バイエルン指揮官の視点>
カルロ・アンチェロッティ「EURO2016は、ひとりの力では勝てない」
text by

アルベルト・コスタAlberto Costa
photograph byAFLO
posted2016/06/16 06:00

今季のクラブシーンでは、チャンピオンズリーグで準優勝に輝いたアトレティコ・マドリーのような堅守速攻のチームが躍進を果たした。しかし、EURO参加国の中でアトレティコのようなプレーをするチームは見あたらない。そもそもアトレティコのように細部までこだわった守備組織を構築するには、時間と本当に細かいトレーニングが必要だ。代表チームにはそういった時間が足りない。その意味で、今回のEUROで堅守速攻がトレンドになることはないだろう。もちろん、そういった戦術を採るチームはあるかもしれない。だが、それはプレースタイルではなく、対戦相手やチーム状況などによって“必要に迫られた”戦術にすぎない。
私の優勝予想は、フランス、スペイン、ドイツの3チームのいずれか。フランスは自国開催のアドバンテージがある。3連覇を狙うスペイン、'14年W杯覇者のドイツは、選手個々の能力で他国を上回っている。
ドイツは、グアルディオラが作ったバイエルンのサッカーに影響を受けていると言われている。私が来季から率いるバイエルンの選手も多くいる。彼らのプレースタイルはすでに熟知しているから、いまさら注意してチェックする必要はないが、そもそも監督は、それぞれ独自のスタイル、メンタリティーを持っているもの。私のバイエルンでのミッションは、選手の能力を最大限に引き出し、彼らのクオリティーを組織の中で熟成させていくことになる。グアルディオラは3年間でチームに自信や安心感、そしてアイデンティティー、パーソナリティーを植え付けた。そこは、私も踏襲すべきだと思っている。最近出版した本『QUIET LEADERSHIP(静かなるリーダーシップ)』にも、それらの重要性が書かれているのだが。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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