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菊池雄星、米1年目のキャンプイン。
最終的にはエースになる存在か?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2019/02/12 17:00
マリナーズと最大7年の変則契約を結んだ菊池雄星。入団会見では挨拶から質疑応答まで、ほとんど英語でこなした。
踏み出す足の幅は日本と一緒。
伝え尽くされた話ではあるが、過去、多くの日本人投手は硬く、傾斜のきつい米国のマウンドに苦労を強いられてきた。環境の違いから技術的なアジャストを求められ、踏み出す足の幅を狭める改善を求められた。
ステップ幅を狭めればイメージは変わり、当然リリースポイントも変わってくる。そこに滑りやすいボールが大きくのしかかってくる。
だが、菊池はサラリと言った。
「歩幅は日本と一緒でしたね。そこも気になっていたんで。一緒で行ける。あとは力を入れればもうちょっと広がると思います」
メジャーに適した投球フォーム。
この日は6、7割の力で6歩半。最終的には7歩を目指すと言う菊池は初ブルペンで当面の不安を解消したわけだが、そこには彼が地道に築き上げて来た確固たる技術があった。
菊池の投球フォームは股関節を軸とした縦軸回転で真上からボールを投げ下ろす。その上でマウンドに着地する右足はソフトランディングで土をとらえる。
過去、1年目から大活躍を収めた先駆者・野茂英雄(ドジャース)、大塚晶則(パドレス)、岡島秀樹(レッドソックス)らと同様のこの技術は、メジャーの投手環境に最も適しているとされる。
菊池は高校時代からメジャーを目指して来た。そのために12年の年月をかけ、メジャー流の技術を意識し、磨いてきたのか。そんな取材側の思いをぶつけると彼はこう答えた。
「メジャーを意識してフォームを作ってきたわけではないですよ。ひとつずつ、ひとつずつです。それは今も変わりありませんが、昔と比べればアメリカの情報も入りやすい時代ですよね。(米球界に挑戦した)土肥さん(昨季までの西武投手コーチ)からアメリカの考えもいろいろ聞いていましたし」
自身の準備はサラリとしまい込みながら、周囲への感謝も何気なく口にする。謙虚に言葉を選ぶ姿と合わせ、彼の人となりを見たような気がした。