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計算できる新外国人バッター3条件。
右打ち、ブレーク前、中距離打者。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2019/02/09 17:00

計算できる新外国人バッター3条件。右打ち、ブレーク前、中距離打者。<Number Web> photograph by AFLO

マリナーズ時代にイチローとチームメートだったホセ・ロペス。今やDeNAに欠かせぬ主砲だ。

日本人打者では左が多いが。

 参考までに2018年終了時点での現役打者の生涯打率5傑(2000打数以上)と、本塁打5傑を示す。

<現役打者打率5傑 ※は左打者>
1 青木宣親(ヤ).329※
2 柳田悠岐(ソ).320※
3 内川聖一(ソ).307
4 山田哲人(ヤ).3012
5 糸井嘉男(神).3008※

<現役打者本塁打5傑 ※は左打者>
1 阿部慎之助(巨)399本※
2 中村剛也(西)385本
3 福留孝介(神)270本※
4 バレンティン(ヤ)255本
5 松田宣浩(ソ)244本

 野球では一般的に左打者がやや有利だと言われる。右より左打席の方がベースを挟んで一塁に数十cm近いこと、左打者が得意とされる右投手の方が、左投手よりも圧倒的に多いことが原因とされる。

 現役選手の5傑は、このことを裏付けているが、なぜ外国人に限って右打者が有利なのか?

 昔はそうではなかった。外国人も左打者の方が優勢だった。三冠王をとったランディ・バース、昨年までNPB通算打率1位を永年キープしたレロン・リー、巨人最強の外国人ウォーレン・クロマティ。もちろん三冠王のブーマー・ウェルズやロバート・ローズなど右の強打者もいたが、現在のように右打者が圧倒的ということはなかった。

欠陥があるようでは通用しない。

 では、何が起こっているのか?

 ここ近年、大リーグで急に右打者が優勢になったわけではない。昨年のナ・リーグの首位打者は左打者のイェリッチ(ブリュワーズ)だし、打撃の主要ランキングでは10傑に3~4人は左打者がいる。左打者が少数であることを考えれば、左打者の優位は損なわれたとは言えないだろう。

 ではなぜ、日本で左の外国人打者が打てなくなったのか?

 かつてはメジャーで通用しない左打者が日本にやってきて、活躍していた。左投手が打てない、打撃が粗いなど欠陥を持った左打者も、NPBでは何とかなったのだ。

 しかしNPBの投手の実力が上がったことで、欠陥のある左打者は、日本でも通用しなくなり、球団側も食指を動かさなくなったのではないか。一方で欠陥のない左打者は、MLBで飯が食えるからNPBには来なくなったのだろう。

【次ページ】 右打者のレベルが上がった?

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