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スマホアプリは山岳遭難の救世主?
老舗『山と溪谷』も“推奨”に方針転換!

posted2019/02/06 17:00

 
スマホアプリは山岳遭難の救世主?老舗『山と溪谷』も“推奨”に方針転換!<Number Web> photograph by Kenichi Moriyama

41万ダウンロードされたアプリ「ジオグラフィカ」の地図画面と、雑誌『山と溪谷』2018年9月号。

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森山憲一

森山憲一Kenichi Moriyama

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Kenichi Moriyama

 登山の遭難原因で不動の1位が「道迷い」であることをご存知だろうか。

 日本国内では年間2500件ほどの山岳遭難が発生しているが、そのうちの4割が道迷い。つまり年間約1000件。1日に3件の道迷い遭難が、全国のどこかの山で毎日起こっている計算になる。

「道迷い」というと語感がのんびりしているためか、この事実はあまり深刻にとらえてもらえない傾向にあるが、山での道迷いは死亡事故につながることも少なくない。

 2018年5月、新潟の五頭山で親子が行方不明になり、3週間後に遺体で発見されるという痛ましい事故があったことをご記憶の方も多いと思う。

 現場は標高1000mにも満たない低山なのだが、道迷いの末に2人が死亡。道迷い遭難は標高の高い難しい山だけで起こるのではなく、むしろ、初心者が多い低山でこそ多発しているのが特徴だ。

 そのため道迷い防止というのは登山界にとって長年の課題であるのだが、道迷い遭難は相変わらず多く、減少する気配は一向に見えない。

 ところがここにきて、ついにその状況を変え得る強力な“武器”が普及しつつある。

 スマートフォンの地図アプリだ。

技術や知識なしで現在地がわかる。

 たとえば、山中で自分がどこにいるのかわからなくなってしまった場合。これまでは、紙の地図とコンパス(方位磁石)を駆使し、地形の微妙な変化なども考慮しつつ、現在地の当たりをつけるしかなかった。

 ところがこれはそれなりに熟練を要する話で、だれもができるわけではない。600万人といわれる日本の登山人口のなかで、紙の地図とコンパスだけで現在地を割り出すことができる人は、10万人くらいしかいないのではないかと個人的には感じている。

 一方で、GPSで測定するスマホの地図アプリであれば、画面上にピンポイントで自分がいる場所が表示される。そこに技術や知識は必要ない。10万人しか得られなかった情報を、地図アプリを立ち上げるだけで、残りの590万人も瞬時に入手することができるのだ。

【次ページ】 グーグルマップは山ではほぼ白紙。

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