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決勝の相手カタールを徹底分析。
アリのカウンターを冨安が防ぐ。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2019/02/01 11:15

決勝の相手カタールを徹底分析。アリのカウンターを冨安が防ぐ。<Number Web> photograph by Getty Images

スペイン人指揮官サンチェス(写真中央こちら向き)のバルサ仕込みの柔軟な戦術に、いかに対応するかがカギになりそうだ。

スペイン人監督が育て上げた選手たち。

 スペイン人指揮官のフェリックス・サンチェス・バスは、2006年から首都ドーハに拠点を置くスポーツアカデミーで育成年代の指導に当たってきた。'13年からU-19カタール代表監督に就任すると、アカデミーから育ててきた選手たちを束ねて翌年のU-19アジア選手権に出場する。

 南野拓実、井手口陽介、中村航輔らが出場した日本は、北朝鮮にPK戦で屈してベスト8に終わるが、サンチェスのカタールはその北朝鮮を決勝で破り初優勝を成し遂げた。

 '15年のU-20ワールドカップではグループステージ敗退に終わるものの、'16年のリオ五輪アジア最終予選では4位に食い込む。

 若年層で着実に結果を残してきたサンチェスは、'17年7月からフル代表の監督に就任する。今大会に出場しているセンターバックのタレク・サルマン、ボランチのアシム・オメル・マディボ、ウイングのアクラム・ハサン・アフィーフ、ストライカーのアルモエズ・アリらは、'14年のU-19選手権からサンチェスの薫陶を受けてきた選手だ。

空中戦より地上戦が彼らの武器。

 カタールの特徴は戦術的柔軟性にある。4-3-3と3-4-3を使い分け、試合中に最終ラインの人数を変えることもある。選手の立ち位置を微修正することで4-3-3が4-2-3-1に、3-4-3が5-3-2になることもある。

 戦い方の幅においては、今大会の出場国屈指と言って差し支えない。バルセロナで生まれ、FCバルセロナのユースチームで監督も務めたサンチェスならではのチーム作りである。

 FCバルセロナの遺伝子を知るサンチェスだが、ポゼッションスタイルには執着していない。レバノン戦、北朝鮮戦、イラク戦で相手を上回るボール支配率を記録した一方で、サウジ戦は28.8%だった。韓国戦も39.7%、UAE戦はほぼイーブンの49.2%である。ボールを握ることのみを、勝つための手段とはしていない。

 クロスも多用しない。UAEとの準決勝は、わずか2本となっている。先行したことで相手が前がかりになり、攻撃の狙いをカウンターに絞り込むことでクロスが減っていった、という面はあっただろう。インサイドハーフのポジションからゴール前へ飛び込んでくるアブデルアジズ・ハティムの出場停止も、無関係でなかったはずだ。背番号6を着ける彼は、182cmのサイズを持つ。

 ここまでの6試合は無失点である。追いかける展開になっていないことも、クロスに依存しない理由に加えられる。クロス=空中戦よりも地上戦を得意とするのが、カタールの攻撃パターンなのだ。

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