サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
決勝の相手カタールを徹底分析。
アリのカウンターを冨安が防ぐ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/02/01 11:15
スペイン人指揮官サンチェス(写真中央こちら向き)のバルサ仕込みの柔軟な戦術に、いかに対応するかがカギになりそうだ。
長友「FWの選手は速いね」
カウンターは速い。韓国戦とUAE戦をテレビで観たという長友佑都は、30日の練習後に「FWの選手は速いね」と切り出した。彼の頭のなかでは、背番号19のアルモエズ・アリの映像が浮かんでいた。
「チーターみたいにホントにしなやかで、しなりながらの走りができる。あとはシュートがうまい。韓国もそうだったけど、僕らがボールを持たせてもらえる時間はけっこう長いと思うんですよ。ただ、カタールは守るところを分かっていて、そのあとにカウンターを仕掛けてくる。
そのカウンターのケアをしっかりしないと。一発でやられるぐらいの速さがありますよ。攻撃しているときというのが、逆にチャンスがピンチになりかねないというところですよね」
カウンターの仕掛けから仕上げまでを担うアルモエズ・アリは、'96年のアリ・ダエイに並ぶ大会最多タイの8ゴールを記録している。そのうち4点は北朝鮮戦で稼いだもので、イラク戦と韓国戦では音無しだったが、UAE戦で3試合ぶりにネットを揺らした。
背番号19を背負うこのストライカーは、カウンターの局面ではゴール正面からやや左サイド寄りの位置でシュートへ持ち込むことが多い。彼がフィニッシュしたいシーンでマッチアップするのは日本の右センターバック──冨安健洋との攻防が多くなる。今大会を通じて成長を遂げてきた20歳の真価が問われる。
カウンターと同じくらいFKも怖い。
カウンターへの対処として、不要な反則をしないことも重要だ。カタールには優れたキッカーがいる。レバノン戦とイラク戦で直接FKをねじ込んだバサム・アルラウィは、コースを狙った一撃に優れる。彼と同じセンターバックのブアレム・フーヒーは、無回転の右足FKを操る。
カタールの戦術的柔軟性に負けないフレキシビリティを、日本は発揮できるか。自分たちがボールを保持している時間帯に、カウンターのリスクに鋭敏でいられるか。自分たちの良さを出し切るのはもちろん、相手の良さを摘み取っていく対応力こそは、2大会ぶり5度目のアジア制覇の前提条件となる。