フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
絶対女王がいない時代の欧州選手権。
不調のザギトワは、生き残れるか?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byNurPhoto via Getty Images
posted2019/01/30 11:00
人として、女性として当然の成長期ではあるのだが……世界トップクラスのスケーターにとっては命取りにもなりかねない事態でもある。
世代交代が余りにも早いロシア女子。
まだジュニア体型の選手がシニアに上がって次々とメダルを手にし、身体の成長と共に消えていくというのは、特にロシア女子の中でこれまで何年も繰り返されてきたことである。
もともと才能がありすぎたのか、やめるときは、あっけないほど簡単にいなくなってしまう。
連盟やコーチにしても、引き止めなくても次の世代の才能がいくらでも控えているというのがロシアの現実だ。
アデリナ・ソトニコワ、ユリア・リプニツカヤ、エレーナ・ラジオノワ、アンナ・ポゴリラヤ……などは、フィギュアスケートのファンでもなければ、名前をようやく覚えたらいつのまにか消えてしまった選手、という印象ではないだろうか。
浅田真央が多くの人に愛された理由。
次々と新しい才能が出てくるのはすごいことではある。
だがせめて数年間、安定してトップを競うスターが育たないと、スポーツは盛り上がっていかない。
日本の浅田真央があれほど愛された理由の1つは、彼女がジュニアからシニアにかけて長期にわたって成績を残し、簡単に諦めることなく息の長い活動を続けてきたからだ。
2シーズン、圧巻の強さを見せていたエフゲニア・メドベデワは、平昌オリンピックで2位に終わった後、カナダに移住してブライアン・オーサーの指導を受けるようになった。
現在はまだ技術の調整中ということで、今シーズンはロシア国内選手権で7位に終わり、欧州選手権の代表からも漏れている。