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天皇杯3連覇の巨大な意義と、
千葉ジェッツが目指すカルチャー。 

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島田慎二

島田慎二Shinji Shimada

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/01/28 07:00

天皇杯3連覇の巨大な意義と、千葉ジェッツが目指すカルチャー。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

千葉ジェッツは天皇杯決勝延長戦残り2.6秒で富樫が3Pシュートを鮮やかに決め、栃木ブレックスを71-69で破った。

ジェッツというカルチャーが育っている。

 ジェッツが目指していくカルチャーとして、ビジネスとして成功していくために商品として最高のものを見せていくことに取り組んできました。

 また、商品の質を高める要素として、ヘッドコーチを務める大野(篤史)がどんな時もファイトし、ゲームを捨てない姿勢をチームに浸透させてくれました。昨季もリーグ戦後半は何度も試合で負けそうになりながら、最後は追い上げ一気に追い抜いて勝利してきています。

 ジェッツというチームカルチャーを3年かけて作り上げてきていると感じています。今回の天皇杯はそういったカルチャーが育って行く重要なターニングポイントとなった大会であることは間違いありません。

 ジェッツが次のステップに進んでいくためには、質を磨き続けることが重要です。私は経営の質を、大野はチームの質を磨き続ける。天皇杯決勝で対戦した栃木ブレックスには、長年同チームでプレーするライアン・ロシター選手やジェフ・ギブス選手といった外国籍選手が在籍し、さらに、田臥勇太選手のような精神的支柱がいてチームがまとまりを見せています。まさに栃木のようなチームが1つの理想形でしょう。

 ジェッツも今はある程度、メンバーを代えずにチームを作り上げている途中ですが、メンタル的にも技術的にも、そしてチームのケミストリー的にも高め続ける中で、少しインパクトを与えたほうがいいなという部分だけ変更を加えるなど、質を追求していくしかありません。

 ただ、それ以上に高い質が備わったところにはまだ敵わないかもしれませんが……。しかし、それは実際にやってみないと分からないこと。見えないものと戦っていくタフな作業ですが、自信を持ってやり続けるしかないと考えています。

チームの源泉は「集客」にある。

 選手のプロフェッショナリズムを育てるのは「集客」でもあります。観客が多いからこそ選手が育てられ、それが強さにつながっていくファンダメンタルだと私は考えています。

 ビジネス面でも集客があるからこそスポンサーメリットがあり、盛り上がっているからこそスポンサーがつく。そして資金力が増えるからこそ、チームへの投資が可能となり補強力が強化され、いい選手を獲得することができる。いい選手は自分を律するようになるので強くなり、観客が増える。

 結局はすべての源泉が集客にあるのです。そのバランスがこれからのジェッツの成長の肝になるでしょう。

【次ページ】 バスケットの勝敗がビジネスに直結。

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