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新潟県の球数制限に筒香嘉智も期待。
「ルールを変えて子供達の将来を守る」
posted2019/01/22 10:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
DeNA・筒香嘉智外野手が1月14日、スーパーバイザーを務める少年野球チーム「堺ビッグボーイズ」の小学生部「チーム・アグレシーボ」の体験会に参加。改めて勝利至上主義から脱却して、本当に子供たちの将来に結びつく指導の必要性、野球界のあり方を訴えた。
その体験会後の取材の最後に筒香が「子供たちを守るために必要」とエールを送ったのが、昨年末に新潟県高校野球連盟(高野連)が発表した春季大会での球数制限の導入だった。
昨年12月の「NIIGATA野球サミット2018」で同高野連が、今春の「春の大会」で試験的に1試合あたり1人の投手の球数を「100球」に制限するルールの導入を決めたことを発表。全国的に大きな波紋を広げることになった。筒香の取材の最後に、報道陣からこの決定について質問が飛んだのである。
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高校野球などで球数が130球、140球を越えて1人の投手が投げ切る姿を見てどう感じるかと聞かれた筒香は「一番、印象的なのは、外国人選手の反応です」とこう話した。
「ベイスターズのロッカーでも甲子園のテレビが流れていることがありますが、外国人選手は『こいつら潰れてしまうぞ、クレージーだ』と驚いています」
「ルールを変えて子供たちの将来を守る」
自身もドミニカ共和国のウインターリーグに参加したり、米国でトレーニングを行なった際に、現地の子供たちの野球の実情もつぶさに見学。そこで見聞きしたことが、子供たちの将来ではなく目先の勝利ばかりにこだわり、あまりに世界基準から外れた日本球界の現状に憂いを持つきっかけとなった経緯もある。
それだけに球数制限の必要性をかねてから訴えていた1人でもあったのだ。
「そうやってルールを変更しないと、みんなやってしまうと思うので、ルールを変えて子供たちの将来を守るのが大事かなと思います」
そこで新潟高野連の決めた球数制限導入にもエールを送ったのだった。
ところがこうして全国的に支持が広がる新潟の挑戦が、どうにも雲行きが怪しくなってきているのである。