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新潟県の球数制限に筒香嘉智も期待。
「ルールを変えて子供達の将来を守る」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/01/22 10:30
夏の甲子園では毎年のように球数制限の話題が出る。球児の未来を守るためにも、指導者を含めた関係各所の大人の、冷静な判断に期待したい。
「様々な建設的な討議を進める材料に」
「球数制限ばかりが話題になりますが、私たちはその他にもケガを防止するための独自のガイドラインの策定や完全シーズンオフ制度の採用などにも挑戦したいと思っています」
こう語るのは「21c型穂波(にいがたほなみ)プロジェクト」の島田修プロジェクトリーダーだった。
そのために横並びで意思統一した各組織を通じて、様々な取り組みを個々のチームに浸透させるT字型体制と呼ばれる構造作りも進められている。
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今回決めた球数制限はもちろん県高野連の理事会、評議員会、監督など現場を含めた連絡会議で正式に機関決定されたものだ。ただ県高野連だけでなく、こうした全県的な取り組みがあって初めて実現できる、新潟だからできるチャレンジでもあるわけだ。
「だからどうぞ、新潟を使ってください。実際に球数制限を実施した試合、大会のデータはすべて公開しますし、それを元にもっと様々な建設的な討議を進める材料にしていただければいいと思っています」(島田プロジェクトリーダー)
思いもしない事態が起こるかも?
実際に球数制限を実施すると、どんなシチュエーションで、どのタイミングで投手交代をしなければならないのか? 100球という数字が、どれくらい試合進行の足かせになるのか? 100球が適正な球数なのか? 球数制限は野球強豪校に圧倒的に有利に働き、選手数の少ない県立高校などにどれくらいの不利が生じるのか? 球数制限で投げられる投手がいなくなり成立しない試合が出てくるのか?
こうしたことばかりではなく、もっと思いもしない事態が起こるかもしれない。
「やってみなければ何も起こらない」という杵鞭専務理事の言葉通りに高校野球にとっては未知のことばかりで、だからこそ新潟が踏み出そうとするこの一歩には、意味があるはずなのである。
そしてこの球数制限を支えるのが、スポーツマンシップだと島田プロジェクトリーダーは語っている。