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初J2・FC琉球の「新戦力」として。
三上昴さんが池田純氏から学んだこと。
text by
瀬尾泰信(Number出版部)Yasunobu Seo
photograph bySports Graphic Number
posted2019/01/14 08:00
沖縄に腰を据える覚悟を固めた三上さん。念願の「感動や大義のある仕事」に日々邁進している。
一流外資系企業で働いていたが……。
三上さんは、筑波大学理工学群社会工学類、筑波大学大学院システム情報工学研究科(MBAコース)を経て、ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社。営業チームの一員として7年、国内金融法人向けに債権の運用を提案したり、超一流のビジネスフィールドで奮闘してきたキャリアを持つ。
だが、三上さんの心の中にはずっと、スポーツがあったようだ。
「もともとサッカー少年で、高校のサッカー部では10番をつけていました。Jリーガーになりたくて、筑波大学でもサッカー部に入り、関東リーグ時代のSC相模原に練習参加していたこともありました。でも、プロへの道は厳しかった。
大学の卒論は『サッカーリーグにおけるチームパフォーマンスの決定要因を探る』でしたし、大学院でもJ2の水戸ホーリーホックさんとの接点ができたこともあって、修論は水戸の経営改善のための課題提案。
クラブビジネスにも興味はあったし、その世界をほんの少し覗いてはいたんです。でも、社会人になるときにけじめをつけようと思って、一旦はサッカーから距離を置きました」
モチベーションをお金に置くか、大義に置くか。
社会人となり、家庭を持ち、外資系証券会社でハードな業務をこなす日々。
やはりその中で、サッカーをやりたい、サッカーに関わりたい、という気持ちがどんどんと大きくなっていった。
「社会人2年目に、つくばのOBチームを作って社会人リーグに参加するようになりました。やっぱりサッカー、本当に楽しいんです。一方で、筑波大学サッカー部がスポンサーを募集するにあたって、プロモーションチームを作ろう、ということで、その立ち上げも手伝ったりしていました。そうしていくうちに、やっぱりサッカーの仕事に関わっていきたいな、と思うようになって……。
それにある日、ふと気づいたんです。社会人になってから、僕は涙を流していないな、と。
これはもう価値観の問題なんですが、働くモチベーションをどこに置くか、ということを真剣に考えなきゃ、と思いました。モチベーションを、お金に置くか。あるいは、大義におくか。
『大義』という言葉は、池田さんもよく話の中で使っていた言葉ですが、自分の仕事に大義があるかないかで、人生の彩りは大きく変わってくる。僕はその時、感動を人に与えたり、自分でも感動できるような仕事をしたい。大義のある仕事をしたいんだ、と改めて気付いたんです」