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開幕2カ月、新生Vリーグの通信簿。
新規ファン獲得に必要なこととは?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAki Nagao
posted2019/01/09 16:30
盛況だった新生Vリーグの開幕戦。これを全国各会場に波及できるかが問われる。
開幕戦が最多観衆だった。
年内のV1男子の試合で最も多くの観客(3000人)を集めたのが、サントリーサンバーズのホームゲームとして東京都・大田区総合体育館で開催された開幕戦、サントリー対JTサンダーズ戦だった。
入り口には大きなゲートや赤いのぼりを並べ、プロジェクションマッピングで華やかに開幕を演出。会場内は横断幕や観客に配ったビブスでチームカラーの真っ赤に染め上げ、ホーム感を高めた。
前売りの段階ではチケットの売れ行きはさほどよくなかったが、当日券が予想以上に売れて満員になったという。19時30分試合開始でビール販売も行なうナイター開催ということと、仕事帰りに立ち寄れる立地が噛み合った結果のようだ。
ただ全体的には集客に苦しんでいるチームが多い。サントリーも地元・大阪でのホームゲームでは苦戦しており、パナソニックもサブホームタウンである福井市での集客は難しいという。
集客数が昨季よりも減少。
今季の集客数は男女ともに減少している。男子でいうと、V1に当たる昨季のプレミアリーグのレギュラーラウンドは1試合の平均入場者数が2000人だったが、今季は12月までの試合の平均が1436人と、1試合当たり約500人も減っている。
ただそれは、ファンが減ったというより、これまでごまかされてきたバレー界の現状があらわになってきたということだろう。今季はホーム以外のチームが、割引券などで動員をかけて空席を埋めることに力を入れなくなったことが、集客数の減少に影響していると思われるからだ。
チケットを買って見にきてもらうためには――。今季は各チームがその難しさを痛感しながら、それぞれ試行錯誤している。
その中で選手たちの意識は確実に変わっている。選手は魅力的なパフォーマンスや試合で観客を引きつけることが第一だが、コート外でも、積極的にSNSなどで発信する選手が増えた。
ただSNSの情報は、もともとバレーに興味を持っている人には届くが、そうでない人にはなかなか届かない。ファンでない人にもVリーグの存在を知らせ、興味を持ってもらわなければリーグの発展はない。