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高校時代の中島翔哉にそっくりな、
横浜FCユース斉藤光毅という逸材。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/01/01 08:00

高校時代の中島翔哉にそっくりな、横浜FCユース斉藤光毅という逸材。<Number Web> photograph by Takahito Ando

仕掛けて抜いて、決める。個人能力あるアタッカーが求められる中で、斉藤光毅はその資質を有する1人だ。

機内でも睡眠時間を調整。

 ブラジルから日本への移動時間は24時間を優に超える。地球の裏側からの移動だけに、いくら若いと言えど、相当な負担があるはずだ。だが、斉藤はこの試合に出場すべく時差調整までしていた。

「ブラジルでは試合に集中していましたが、最後のブラジル戦が終わってから、チーム(横浜FCユース)の結果にそわそわして……(笑)。(22日の1回戦)昌平戦に勝って、今日の決定戦に進んだことが分かった瞬間、こっちの試合に切り替えました。機内では“このタイミングで寝て、このタイミングで起きよう”と考えて実行していました。

 途中で灯りを落とされて暗くになった時は相当きつかったですが、寝るのを我慢して時差調整に努めました。正直、かなりキツかったですが(笑)、全てはこの試合に出るため。自分が所属するクラブですし、来季プリンスリーグ関東に昇格することは最低限のことだと思うので、そこは絶対に上がらないといけない。今年の目標でもあったので、そこは絶対に出たかったんです」

 こう語った斉藤は、1トップとしてスタメン出場。前線でマークを外しつつパスを受けると、複数人かけて来た明秀日立の守備をいなす。軽やかなステップと正確なボールタッチでボールを渡さないのだ。さらにシンプルに周りにはたき、フリーになった味方を有効活用した。

自らのゴールで勝負あり。

「すぐに息があがったり、身体が重かったりしたので、もう少しゴール前で得点に絡むプレーがしたかったですが、難しかったです。でも、僕が潰れたりワンタッチで落としたり、逆サイドに展開したりするプレーが多かったのは良かったと思います」

 存在感が全く違った。味方と相手の意識を集中が斉藤に集まる。つまり完全に彼がゲームを支配していたのだ。

 横浜FCユースは前半だけで1年生MF中川敦瑛が2ゴールを奪って試合を優位に運ぶ。「正直、かなり刺激になりました」と斉藤が語る中で、58分に鮮烈なプレーを見せた。

 味方のミドルシュートを相手GKが弾くと、真っ先に反応した斉藤が文字通り身を投げ出すような形で、ゴールに押し込んだ。

 ゴール後、1回転して起き上がると、飛び出してきたベンチに向かって全力疾走。コーナーフラッグ付近でたちまち歓喜の輪がでっきた。エースの一撃とあって、チームの喜び方は尋常ではなかった。全員が雄叫びを挙げ、喜びを爆発させていた。

【次ページ】 クラブ、代表で多忙の1年。

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