“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校時代の中島翔哉にそっくりな、
横浜FCユース斉藤光毅という逸材。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/01/01 08:00
仕掛けて抜いて、決める。個人能力あるアタッカーが求められる中で、斉藤光毅はその資質を有する1人だ。
クラブ、代表で多忙の1年。
82分までプレーした斉藤の活躍もあり、チームは3-0で勝利。来季のプリンス関東昇格を手にした。
「本当に嬉しいです。何としてもこの試合には出たかったので、点を獲ることで貢献できてよかった」
中学から横浜FCの下部組織に加わった彼にとって、2018年は多忙な1年だった。高2ながらトップチームに登録されると、7月のJ2第24節のFC岐阜戦で途中出場でJデビュー。これはクラブ史上最年少トップレビュー記録(16歳11カ月11日)となった。
続く第25節のツエーゲン金沢戦で出場して以降は出番がなかったが、10月のAFC U-19選手権に最年少となる代表招集。グループリーグ初戦の北朝鮮戦で先制弾をマークし、続くタイ戦、イラク戦でもゴールを決めると、U-20W杯出場が懸かった準々決勝のインドネシア戦で、MF藤本寛也(東京ヴェルディ)の負傷を受けて15分から緊急投入された。
そこでも持ち前のドリブル突破と、効果的な3人目の動きを見せて、2-0の勝利に貢献した。
「年齢は一切関係ないと思っています。ピッチに立ったら対等ですし、僕はどの試合も全力で、貪欲にやっていくだけです」
あどけない表情で体格も華奢だが、彼のメンタリティーは誰よりも強く、そしてゴールへの意欲も人一倍強かった。
中島翔哉と同じ言葉の強さ。
いわゆる小綺麗にサッカーをする選手ではない。常に相手にとって嫌なプレーを考え、ゴールへの道筋を見つけ出して迷わず実行する。
線の細さをディスアドバンテージとしない足下の技術、アジリティー、そして運動量を持ち、何よりも貪欲にゴールを狙い続ける。このメンタルの強さこそが、中島翔哉と斉藤光毅がダブって見えるゆえんだった。
彼との会話を重ねると、その印象を強く抱く。
中島を高校1年から取材しているが、その言葉は熱意と野望にあふれていた。
「僕はもっともっと上手くなりたいんです。それ以外は考えていないほどなんです。どんな試合、どんな練習でも絶対に手を抜きたくないし、そこで抜くような選手では上には行けませんから。僕は(ヴェルディの)トップチームに上がることはもちろん、世界で活躍したいんです。日本人初のバロンドールは僕だと思っています。だからこそ、毎日を全力で取り組みたいし、サッカーに捧げたいんです」
中島が高2時の言葉だ。その後のサッカー人生は紆余曲折があったが、今は日本代表で10番を背負い、ポルトガルで注目を集める選手にまで成長した。