“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校時代の中島翔哉にそっくりな、
横浜FCユース斉藤光毅という逸材。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/01/01 08:00
仕掛けて抜いて、決める。個人能力あるアタッカーが求められる中で、斉藤光毅はその資質を有する1人だ。
「サッカーに飢えている子」
そして、明秀日立戦後に自分の想いを語る斉藤の姿は、あの時の中島と重なって見えた。
「僕は常に目の前のことを全力でやりたい。それは当たり前のこと。練習もすべて全力でやりますし、抜く所はないくらい全力でやります」
どこまでもサッカーが大好きで、誰よりも上に行きたい気持ちを持っている。「誰よりもサッカーに飢えている子。それが周りに良い影響を与えてくれる存在」と、小野監督も目を細める。
だからこそ、斉藤にとって2019年もまた重要な1年となる。高3になるが、トップチームの一員としてレギュラー争いを制し、かつU-20W杯のメンバーに選ばれて、世界を経験する重要な機会が待っている。
「トップで試合に出て、2桁得点などしっかりと活躍できるように、この年末年始はキャンプに向けて、上を見据えて目の前の1つ1つを全力でこなしてたいと思います。僕の中でU-20W杯は目標ですが、そこで試合に出て点を決めて勝つことまで求めていて、その先に東京五輪も行きたいと思っている。しっかりと前を見つめてやっていきたいと思います」
久保建英にも負けたくない。
目標を共有する同年代のライバルの存在も、サッカー小僧を突き動かしている。
「僕には同い年の(久保)建英という存在がいます。アイツが結果を残したら危機感が生まれますし、“俺はこんなんしていていいのか?”、“もっとやらないといけないんじゃないか?”という気持ちがわいてくる。前に進む原動力の1つになっています。
この年代辺りから、チヤホヤされる可能性はありますが、そこで調子に乗ったり、勘違いをすることはしないように意識をしていますし、建英はそういう締める存在としてもでかいとは思いますが、自分も信念をしっかり持って、動じないことが大事だと思います」
「久保選手に追いつきたい、追い越したいよりも、自分が突き抜けたいという想いが強いですか?」と聞くと、彼は鋭い目つきで「もちろんです」と答えた。
群馬の地で輝きを見せたサッカー小僧。観客は少なかったかもしれない、注目はされていないかもしれない。
だが、彼にはそんなことは関係ない。ただただ仲間とサッカーがしたい、チームを勝たせたい。
何よりサッカーをしていたいし、サッカーがうまくなりたい。
この純粋な気持ちこそが才能であることを改めて感じた。