JリーグPRESSBACK NUMBER
フロンターレはACLに本気だ。
「浦和にできて、鹿島にできて……」
posted2018/12/31 10:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE
2018年J1リーグ最終節後のセレモニーでのことだ。
藁科義弘代表取締役社長は、スタジアムにいるサポーターに力強くこう宣言した。
「私たちは来シーズン3連覇を目指します。そして、まだ取っていないカップ戦。これも狙いに行きます。そしてもうひとつ。今年、本当に悔しい思いをしたACL……浦和にできて、鹿島にできて、我々にできないはずはない!」
リーグ連覇を達成した川崎フロンターレの2019年の野望は、ここに集約されていると言って良い。2位・サンフレッチェ広島との勝ち点差は、過去最大の12。総得点57、総失点27はともにリーグトップを記録した。
「完全優勝」とも評されて連覇を達成したクラブが掲げた目標は、国内のタイトルとアジアのタイトルの両立だ。要するに、ACLを含めた4冠を全力で狙いにいくということである。それを夢物語ではなく、現実的な目標として公言している。
優勝しても、憲剛は泣かず。
選手達の中にある「思い」も一致している。
連覇してもなお、カップタイトルを逃したことに対する悔しさを話す選手は少なくなかったからだ。例えばシーズン終盤を怪我で離脱したキャプテンの小林悠は、連覇に満足することなく、来年に向けた思いを口にしている。
「(優勝は)まだ2回目ですけど、良い意味で、慣れてきたのかもしれない。去年ほどの感動はなかったですから。そして強いチームには、こうやってなっていくのだと思います。ただ、まだまだカップ戦は取れていない。自分も全試合出れなかった。そっちの不甲斐なさがある」
クラブの歴史を長く知るバンディエラ・中村憲剛も同様だ。
初優勝が決まった昨年は等々力のピッチにうずくまったが、連覇を達成した長居のピッチでは、あそこまでの爆発した感情は見せていない。満たされたものも多くあったはずだが、それ以上の飢餓感が彼の中にも湧いていたのである。
「今年は優勝しても涙は出なかった。なんなら、ちょっと怒ってたからね(笑)。(セレッソ大阪に)負けたこともそうだし、最後の試合運びもそう。そこが統一されていなかった。でも、そこは伸びしろなのかな。本当に勝って優勝というところで勝っていない。そこはまだまだ詰められる」