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マンC撃破で復調のチェルシー。
それでも消えない不安要素とは。
posted2018/12/15 10:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto press
息を吹き返した──。
マンチェスター・シティとのビッグファイトを前に、チェルシーのムードは芳しくなかった。エバートンとスコアレスドロー、トッテナムに1-3と叩きのめされ、ウォルバーハンプトンには足もとをすくわれる逆転負けを喫した。
ジョルジーニョを完全に消されたり、追いつかれた途端に全体のラインが間延びしたり、開幕5連勝で印象づけた美しいバランスは消え、どこか弱々しい。
「違うチームになってしまった。原因はどこにあるのだろうか」
マウリツィオ・サッリ監督も頭を抱えた。
そうした状況でシティ戦を迎えたのだから、多くのメディアが「チェルシー不利。大差で敗れる恐れも」と予想したのは当然だった。
ところが、2-0の快勝である。ポゼッションでは38.7%対61.3%と下まわったものの、ボールサイドに激しく寄せてシティの時間を制限し、とくに後半は枠内シュートを1本も撃たせていない。
「チーム一丸となって闘い、勝った。あのシティを、ヨーロッパ随一のチームをやっつけてやったぜ!」
2点目を決めたダビド・ルイスが吠えていた。こうしてチェルシーは、優勝戦線に生き残ったのである。
開幕5連勝で図に乗っていた。
「開幕5連勝で図に乗っていた。苦しまなくても勝てる、俺たちは最強だってね。しかし、ウォルバーハンプトンとトッテナムに敗れ、気持ちが折れかけていた。ボス(サッリ監督)にもこっぴどく怒られたんだ。
そこで俺たちは選手だけで徹底的に話し合った。その答えが謙虚になるってことだった。シティ戦の勝因は強い気持ちさ。ウォルバーハンプトン戦とトッテナム戦はいい教訓になったよ」
アントニオ・ルディガーが語ったように、シティ戦のチェルシーは気合いに満ちあふれていた。この、成長著しいセンターバックは天性の運動能力と的確な状況判断で幅広いエリアをカバーした。
セサル・アスピリクエタはバランスを崩しながら、驚異的な復元力でレロイ・サネのシュートを弾き飛ばした。エデン・アザールはシティのビルドアップを牽制するために汗をかき、エンゴロ・カンテはいつにも増してエネルギッシュだった。