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マンC撃破で復調のチェルシー。
それでも消えない不安要素とは。 

text by

粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto press

posted2018/12/15 10:00

マンC撃破で復調のチェルシー。それでも消えない不安要素とは。<Number Web> photograph by Uniphoto press

チェルシーの攻撃に不可欠な存在、アザール(右)。果たしてクラブに残留するのか、それとも?

メンバー固定化の懸念。

 もうひとつの懸念はメンバーの固定化である。第16節まで先発フル出場が続くアスピリクエタもいつか疲弊する。稼働率の高いカンテ、ルディガー、マルコス・アロンソも同様だ。当然、彼らは休養を必要としている。

 ところが、ギャリー・ケーヒルとビクター・モーゼズ、ダニー・ドリンクウォーターは冬の移籍を示唆した。カップ戦要員のダビデ・ザッパコスタとエメルソンも、チェルシーでは行き場を失っている。もはや彼らはバックアッパーでもなく、構想外といって差し支えない。

 来年1月、ケーヒル以下の5選手が一斉に移籍した場合、主力のアクシデントは大幅な戦力ダウンに直結する。なかでも両サイドバックはアスピリクエタとM・アロンソの貢献度がずば抜けており、アカデミーの若手を抜擢しても一時しのぎにもならない。

 また、来年2月にはヨーロッパリーグが再開し、プレミアリーグではシティ戦(アウェー)とトッテナム戦(ホーム)が予定されている。ラウンド32で長距離移動を強いられると、肉体的なダメージが蓄積する。

 ルーベン・ロフタス・チークがサッリ監督の信頼をついに勝ち取り、カラム・ハドソン・オドイが急成長中とはいえ、選手層は希薄だ。冬の市場における成否が、チェルシーの今シーズンを大きく左右するに違いない。

アザールがマドリー移籍合意?

 そしていま、アザールの周囲にさざ波が立ちはじめている。「レアル・マドリーと個人合意に至った」というのだ。

 アザール本人もスペインの強豪に対する憧憬を隠していない。もっとも、直ちに移籍するわけではなく、早くてもシーズン終了後との情報が大方を占めている。

 しかし、仮にレアルへの移籍が個人合意に達していたとすると、チェルシーに全身全霊を注げない。気持ちはマドリードに飛んでいるのなら、ケガを恐れて消極的なプレーに終始する。最悪のケースだ。

【次ページ】 ペレス会長が強引だけに……。

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