リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサは首位だがバランスが悪い。
クラブ史に残る失点数の原因とは。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto press
posted2018/12/07 07:30
バルサの華やかな攻撃の裏側には、守備の手堅さもある。今シーズンはそれが機能しているとは言い難い。
カウンター対処がずっと拙い。
グアルディオラが指揮したバルサが攻撃的でなかったことは一度もないけれど、失点は4シーズンすべてでリーガ最少だった。その後の6シーズンにしても最多得点ランキング首位をレアル・マドリーと争いながら、最少失点ランキングでは3位以内を維持してきた。
つまるところ、バルサは攻守の両立が可能であり、それを求められるチームである。
失点シーンを繰り返し見せられるサポーターにとってもどかしいのは、明らかになっている弱点がいつまで経っても弱点のままであることだろう。
なにより目に付くのは攻撃から守備への切り換え、すなわち、カウンターへの対処の拙さだ。くだんのベティス戦終了後、バルベルデは難しい顔で反省している。
「攻撃的サッカーをするときはボールを失った後をしっかりコントロールしなくてはならない。敵がカウンターを仕掛けようとしても止められるようにしておかなければ。ボールとの位置関係やボールホルダーへのサポートを選手は常に念頭に置いておく必要がある。それができてこそ巧く攻められるし、失ったボールをすぐ追うことができるのだが……」
4-3-3変更で守備にツケが?
カウンター発動時点で阻止できない。となると、DFは走り込んでくる相手アタッカーをチェックしながら自陣へ後退しなければならない。そこで次の弱点が露呈する。サイドを使われたときの脆さである。
中盤の戻りが遅いこともあって、横の揺さぶりに対応できない。そればかりか、遅攻の中であっても時にマークがずれる。エル・パイス紙の統計によると、19失点の7割強が相手のクロスの後に生じている。
昨シーズンのバルサは堅守を特長のひとつとしていた。失点は全38試合ではアトレティコ・マドリーに次いで少ない29。14試合では7失点しかしていなかった。
それが、これほど変わってしまった要因は4-4-2から4-3-3へのフォーメーション変更だろう。王座に座り続けるためのバルベルデの判断であり、実際のところ攻撃に効果は現れているが、守備にツケが回ってきているのだ。