リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサは首位だがバランスが悪い。
クラブ史に残る失点数の原因とは。
posted2018/12/07 07:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto press
第13節で転落した首位に、ビジャレアルを破ったバルセロナが早速返り咲いた。その事実だけを見るならさすがの盤石ぶりを感じるが、もう少し視野を広げると、今季のバルサは良くない。
失点がクラブ史に残るレベルで多いのだ。
ビジャレアル戦は2-0で勝利したが、ゼロ封は実に第2節バジャドリー戦以来のこと。GKテア・シュテゲンの驚異的な反応に何度も助けられながら、これまでの14試合で19失点しており、これに近い数字を探すとなると、1974-75シーズン(20失点)や1964-65シーズン(23失点)まで遡らねばならない。
また第12節ベティス戦では、リーガのホームゲームでは2002-03シーズンのバレンシア戦やデポルティーボ戦以来となる4失点を喫して、一昨季のアラベス戦以来となる敗北を“我が家”で記録している。
攻守バランスという永遠の議題。
サッカーは攻撃と守備のバランスがカギを握るゲームだ。片方に力を入れれば片方が疎かになり、勝利が難しくなる。南米やスペインでは1950年代から'80年代にかけて活躍したブラジル出身の名将エルバ・デ・パドゥア・リマ――通称「チム」の至言が、しばしば引用されている。
「サッカーは丈の短い毛布のようなもの。顔まで引き上げると足先が飛び出てしまうし、足先を覆うと顔から首元までが出てしまう」
バルサは今季も得点は多く、1試合平均にするとこれまでのところ昨季の2.61を越える2.64ゴール決めている。しかも首位。それを考えると、現状は容赦の対象と思う人もいるかもしれない。が、ここ10年のバルサを振り返れば、その気はなくなるはずだ。