サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
薄味だった森保Jのベネズエラ戦。
プラス評価はセットプレーの得点。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/11/17 11:15
試合前には、渋滞でチームバスの到着がキックオフ直前になるトラブルもあったベネズエラ戦。
選手の入れ替えで攻撃が減速。
後半開始直後の49分には、柴崎が前線へ飛び出し、アタッカー陣を追い越してペナルティエリア右からフィニッシュへ持ち込む。53分には中島の粘り強い持ち出しをきっかけとして、堂安が大迫とのパス交換から左足で狙う。
攻撃の連動性が高まってきた気配も漂うが、そのあとが続かないのだ。68分以降は前線の選手を入れ替えていったこともあり、追加点のチャンスをつかめないまま時間が過ぎていく。79分のPK献上によって、前半から決定機を逃してきた代償を支払うことになってしまったのだった。
もっとも、南米からやってきた来訪者は、ワールドカップ出場経験こそないものの格下ではない。日本代表が10月にホームで勝利したパナマを、ベネズエラは9月にアウェイで破っている。世界的なビッグネームこそいないものの、攻守に規律のあるサッカーを展開する好チームだ。デュエルの攻防も逞しかった。
森保一監督就任後の連勝がベネズエラ相手にストップしたのも、しかたのないところはある。そもそも、チーム結成直後のテストマッチでの連勝に、さほど大きな意味はない。
スタメンの連動性を優先するのは正しい。
中島、南野、堂安の2列目と1トップの大迫がゴールネットを揺らすことができず、彼らに代わって出場した選手がインパクトを残せなかったことを、来年1月開幕のアジアカップへの不安材料とする意見もくすぶる。
チームの強化には優先順位がある。まずはスタメン出場を期待するメンバーの連動性を高め、そのうえでオプションを増やしていくべきだ。2列目+1トップが機能性を増していくことで、途中出場の選手を加えたコンビネーションもスムーズになる。
2011年のアジアカップで優勝したチームは、攻撃のオプションをあらかじめ持っていたわけではなかった。控え選手の序列は、明確に定まっていなかった。
分かりやすいのは李忠成だ。オーストラリアとのファイナルで決勝のボレーを突き刺した彼は、グループリーグ第1戦が国際Aマッチのデビュー戦だった。自他ともに認めるスーパーサブとして、大会に臨んではいなかったのである。
10年の南アフリカ・ワールドカップの出場メンバーが核になっていたとはいえ、アルベルト・ザッケローニのチームも不確定要素を含んでいたのだ。世代交代を進めながら強化をはかっていく森保監督のチームが、結成から4試合目の若いチームが、味付けの薄いメインディッシュのような試合をしてしまうことは驚きでない。