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大谷翔平のメジャー新人王に思う、
イチロー以来の日本人受賞の意義。 

text by

笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byNanae Suzuki

posted2018/11/14 08:00

大谷翔平のメジャー新人王に思う、イチロー以来の日本人受賞の意義。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

日本人4人目となる新人王を獲得した大谷翔平。その活躍ぶりが全米に認められた。

イチロー以来の快挙の裏側で。

 日本人選手としては1995年の野茂英雄(ドジャース)、2000年の佐々木主浩(マリナーズ)、2001年のイチロー(マリナーズ)以来4人目、実に17年ぶりの快挙。だがこの間、決して日本人選手が新人王にふさわしい活躍を見せなかったわけではない。

 2003年の松井秀喜(ヤンキース)は打率.287、16本塁打、106打点で地区優勝に貢献も2位。2005年の井口資仁(ホワイトソックス)も2番打者として地区優勝の原動力となり、打率.278、15本塁打を放ったものの4位に終わった。

 投手でも2007年の松坂大輔(レッドソックス)は15勝を挙げ地区優勝を果たしたが4位。2012年のダルビッシュ有(レンジャーズ)はオールスターに出場し16勝で3位、2014年の田中将大(ヤンキース)は13勝で5位、2016年の前田健太(ドジャース)は16勝を挙げ地区優勝に貢献したが3位だった。

 その理由として、全米野球記者協会の多くの記者から、こんな意見を聞いた。

「レベルの高いNPBを経た日本人選手と純粋な新人を比べるのはいかがなものか」

真の二刀流が証明された。

 とはいうものの、以前はまったく違った。先駆者・野茂英雄は新人の年にオールスターに出場し13勝を挙げ、236三振で奪三振王。日本のプロ野球で4年連続最多勝と奪三振王に輝いた経歴がありながら、彼らは「NOMO」を新人王に選んだ。

 当時の記者の言葉は今でもはっきりと覚えている。

「新人王はジャッキー・ロビンソン・アワードの名がつく。そのロビンソンだってプロのニグロリーグから来た選手だ。初めてメジャーリーグに来たのであれば経歴に関係なく新人。それがメジャーリーグと言うものだ」

 ところが、佐々木、イチローの大活躍を経て寛容だった全米野球記者協会の心は大きく変わっていった。だが、大谷はその垣根さえも取り払ってしまった。

 言うまでもなく、大谷はNPB出身のメジャーリーガーだ。日本ハムで5年間も実績をあげた。なのに、今年の大谷に日本のプロ野球云々を問う記者はいなかった。

 それはなぜか。大谷がベーブ・ルース以来、100年ぶりにメジャーリーグに現れた真の二刀流であり、その実力が本物であったことを彼が証明したことに尽きる。

 それほどのインパクトを与えたのが160kmの直球であり、150m級の本塁打であった。

【次ページ】 「フルで出るのが一番」

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