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ドラフト1位の大学生6人の共通点。
甲子園不出場の彼らがなぜ成長?
 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/11/12 07:00

ドラフト1位の大学生6人の共通点。甲子園不出場の彼らがなぜ成長?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

楽天は1位指名で3球団が競合した藤原恭大は外したが、外れ1位の辰己涼介は4球団競合のくじを引き当てた。

無名球児をプロ入りに導く指導法は?

 4年間の大学野球生活を経たあとで、無名の高校球児たちが一転、その年のトッププレーヤーにのし上がってきた理由の中には、どのような指導があったのか。

 何人かの大学野球指導者の方たちにうかがってみた。

「いや、僕のほうが訊いてみたいぐらいですよ、東洋さんの“3人”とか」

 桐蔭横浜大学・齊藤博久監督は、これまでにも、東明大貴(→富士重工→2013年オリックス2位)、横山弘樹(→NTT東日本→2015年広島2位)など、高校時代はまったく無名かエースではなかった投手を育て、社会人野球経由でプロに送り込んできた。

 今年のドラフトでも、一昨年卒業の齋藤友貴哉投手(ホンダ)が阪神4位に指名され、学生時代、彼と二本柱として奮闘した高橋拓巳投手(日本生命)もドラフト間際に肩痛を発症したものの、上位候補の高い評価を受けていた。

「たしかに、社会人を経てプロに進んだピッチャーは何人かいますけど、ウチのチームから直接ドラフト1位でプロに行ったのはいないので、“ドラフト1位の作り方”みたいな話はできませんよ……」

 と、前置きしたうえで、こんな話をしてくださった。

社会人でもまだ成長期の選手はいる。

「僕がしているのは、形をいじらないっていうことです。ピッチャーって、ひとりひとりそれぞれに骨格も違うし、筋肉のつき方、筋肉の質、全部違う。同じように投げるフォームも違うわけで、ピークを迎える時期が違うだけで、誰にもピークはやって来ると思ってます。

 私のやるべきことは、それぞれのピッチャーが来るべきときにピークを迎えられるように、まず基礎体力を作ってあげること。あとは心を鍛えるっていうことでしょうか。こういう考え方をすれば、こんな成果が期待できる。練習についての考え方だって、試合に勝つために練習するんだったら試合に直結した練習をしようよ。たとえば、試合で球数の70%をセットポジションで投げるピッチャーなら、練習だって球数の70%以上セットで投げないと、試合のための練習にならないでしょ」

 その選手の“ピーク”を想定することも、大切ではないかと齊藤監督は言う。

「ひとりひとり骨格や筋肉の質が違うように、選手それぞれに体力的なピークは違っていて、体と心を鍛えていけばそのピークでブレイクすることもできる。東明の場合は、たまたまそのピーク社会人2年目の24歳の時だったから、2位って高い評価で指名されたのかも知れないし、今年指名された齊藤なんて25、6ぐらいがピークじゃないかと僕は思ってます。社会人からのプロ入りですけど、まだまだ潜在能力を隠してるピッチャーですよ」

 そういえば、桐蔭横浜大の卒業生で、JR東日本東北の左腕エース・西村祐太投手が秋の日本選手権でパーフェクトゲームを達成したのは、社会人6年目の昨年、28歳の時のことだ。

【次ページ】 大切なのはピークを前倒さないこと。

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