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遠藤保仁、J1通算600試合達成へ。
親友たちだけが知るヤットの凄さ。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/11/09 08:00
遠藤保仁、デビュー戦の横浜ダービー。中村俊輔とボールを競り合う場面も。
今野、藤春も驚くタフさ。
湘南戦を目前にした6日の練習後、囲み取材に応じた遠藤には「痛みには強いのか」との質問が飛ばされたが、すっかり馴染んだ大阪弁とともにこう返したのだ。
「よう(よく)やったなという試合も100試合ぐらいはある。ギリギリの状態だった時も」
現在、チームは4年ぶりの7連勝。遠藤とともに2ボランチを形成するもう1人の鉄人、今野泰幸も遠藤の状態を間近で見続けてきた男である。
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「ヤットさんは毎年、怪我をすることなしにフルでシーズンを戦っている。それに痛くてもプレーしている」
今野の言葉を裏付けるのは藤春廣輝の証言だ。
「ヤットさんの言葉で一番、心に残っているのは『怪我はトモダチ』って一度言っているのを聞いて、凄いなって思った。あの人は人前であまり『痛い』って言わないけど」
JリーグでMVPを獲得し、ガンバ大阪ではクラブワールドカップを除けば、全てのタイトルを獲得。日本サッカー界屈指の「記録男」を駆り立てるのは、飽くなき試合への飢えなのだ。
「まだまだ上手くなりたいんでね」
「試合にはずっとレギュラーとして出続けたい」
ルーキーさながらの思いを未だに持ち続けられるメンタル面こそが、遠藤保仁の凄さである。
宮本監督が感じる変化。
自らのプレーや信念には絶対の自信を持ちながらも、21年のキャリアを通じて変化する柔軟性も持ち合わせることで、今の自分を作り上げて来た。
ポジションも、もはやボランチの枠組みには収まらない。長谷川健太監督が率いた昨年までのガンバ大阪では時にトップ下や、アンカー、そしてFWでもプレー。長谷川監督は「ポジション名はヤットでいいんじゃないですか」との名言も残したが、現在の指揮官である宮本恒靖監督も、その変化を感じ取ってきた1人である。
「色んな指導者とか、色んなチームで、新たなものを身につけ、自分を磨いた結果だと思う。例えば、昔はそんなに走らなかったけど、オシムさんと出会って走るようになったりとかね。ベースにある技術力の高さを生かしながら変化を遂げて、ここまでずっとやってきた。ピッチ外についても、昔は練習のギリギリに来ていたけど、年齢を重ねるごとに、必要なものを取り入れてケアもしている」