JリーグPRESSBACK NUMBER
酒井宏樹を開花させた“レドミ”。
横浜FCでも光るブラジル式の思考。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byGetty Images
posted2018/11/08 17:00
レアンドロ・ドミンゲスの技術と対応力は、J1昇格を目指す横浜FCにとって何よりも心強い。
酒井宏樹が語っていたこと。
柏時代、工藤とともにレアンドロについて尋ねた選手がもうひとりいる。酒井宏樹だ。
マルセイユで活躍する酒井は、右サイドでコンビを組んだレアンドロについて、こんなふうに語っていた。
「レアンドロはパスがずれたりしたときは、必ず直後に“こう動いてほしかったんだ”などと注文を出してくれる。おかげでこちらも、もやもやしたものが残らず、試合中に修正することができる」
実際に、スルーパスが合わなかったときなど、レアンドロはよく「こういうコースで走ってくれよ」と身振り手振りで意思表示をしていた。
レアンドロとコンビを組むことで酒井は潜在能力を開花させ、柏の右サイドは盤石なものとなった。
マルセイユのレギュラーとして活躍するいまがあるのも、伸び盛りの時期に優秀なパートナーと出会ったことが大きいだろう。
ブラジル人と日本人の思考法。
さて、酒井が語ったレアンドロ評は、ブラジル人と日本人の考えかたの違いにも通じるところがあって、非常に興味深い。
レアンドロが試合中、チームメイトによく注文を出すのは、試合中に問題が起きても、その場その場で修正しながらゲームを作っていけばいいと考えているからだ。
これはサッカーだけに限った話ではない。
例えばブラジルでは何かの店を出すとき、完璧に準備を整えないうちからオープンするのが一般的だという。「問題が出たら、そのときに対応すればいいよね」という考えかただ。
自国開催した'14年ワールドカップも、これに近いものがあり、9割程度の完成度で開幕を迎えた。
サンパウロのスタジアムはゴール裏に屋根がつかず、日本がギリシャと対戦したナタールのプレスセンターも雨漏りがしていた。だが、いい意味で“不完全主義者”のブラジル人たちは気にしない。