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女子レスリングが急激にV字復活!
要因は選手とコーチの信頼関係。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKoji Fuse
posted2018/11/03 17:00
世界選手権で金メダルを獲得した川井梨紗子(左)と川井友香子。
セコンド変更も柔軟に。
きちんとやるべきことをやれば勝てる。そうした個々の気持ちの柔軟な変化が自信の復活となり、世界選手権での活躍につながったのではないか。
今大会では女子の前に行われた男子フリースタイルで乙黒拓斗がいい見本を見せてくれたということも見逃せない。
「2-1とリード、あるいは1-1というイーブンの状況だったら攻めた方が勝つ。その見本を世界チャンピオンになることで乙黒は見せてくれた。彼の好戦的なレスリングは女子にいい影響を与えてくれたと思います」(西口強化本部長)
とりわけ乙黒と同じJOCエリートアカデミー出身の須崎優衣(早稲田大)と向田真優は、乙黒の活躍が自身の優勝の大きな原動力になったと発言している。
選手が最大のパフォーマンスを発揮できるように、指導者たちが柔軟な采配を振るったことも評価できるだろう。女子50kg級で優勝し、大会2連覇を達成した須崎優衣のセコンドには、当初女子の監督を務めた笹山秀雄(自衛隊)がつく予定だったが、直前になって笹山は、セコンドを普段から須崎を指導している吉村祥子コーチに変更したのだ。
「少しでも須崎に力を与えられるなら俺は引っ込む、と。笹山からの申し出は大英断だったと思います」(西口強化本部長)
東京オリンピックに向け、“女子レスリング王国”はチームワークを取り戻したか。