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根尾昂が捕手になるのは本当にナシ?
ぜひ一度試してほしい数多くの理由。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/11/02 07:00

根尾昂が捕手になるのは本当にナシ?ぜひ一度試してほしい数多くの理由。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

根尾昂は4球団競合のすえ、中日が交渉権を獲得した。果たしてどんなキャリアを歩くのか楽しみでならない。

ドラフトでの捕手指名は6人。

 捕手がいない、捕手が育たない……。

 うわごとのように繰り返すスカウトや現場の指導者の方がたくさんいらっしゃる。

 実際、次期レギュラーマスクのめどが立たずに悩んでいる球団は数えきれないほどあるのに、今年のドラフト会議で指名された「捕手」が何人だったのか、ご存じだろうか?

 高校4、大学2、社会人なんと0……合わせて、わずか6人(育成指名除く)。ちなみに、お世話する「投手」は45人も指名されている。

 捕手の中から「捕手」を探す時代は、すでにして終わっている。

 6年も7年も前から言ってきたことだ。「斎藤佑樹(日本ハム)はキャッチャーだ!」と書いて、大笑いされたこともある。

選手の適性を原点に返って探る。

「野球」というスポーツを取り囲む社会の事情も、だいぶ変わってきている。

 子供の数が減っている。野球の競技人口の減少。それにつれて、ドラフトの意味、育成の現実も変わらざるを得ない。

 昔みたいに、「10人獲って1人、2人モノになってくれればいいのよ……」そんなノンキなこと言ってる時代じゃなくなっている。

 その10人が、7人になり、5人になろうとしている。獲得した選手すべてを育てて活用しなければならない時代になり始めている。

 野球が9人で行うスポーツであることが変わらないかぎり、試合の時のベンチ入りが20人であり、25人であることが変わらないかぎり、野球を志す人たちを、より有効に生かさねば、「野球」という競技そのものが立ち行かなくなる近未来が来ないともかぎらない。

 ならば原点に立ち返って、選手の適性を探る必要があるのではないか。

 たとえば、高校まではショートをしていました……そういう選手がいたとしても、ちょっと待てよ、この選手ひょっとしてキャッチャーのほうが、適性があるのでは……。そんな発想があってもいい。

 そこに、思いもしない“可能性”の芽を見つけないとも限らない。

 もちろん、本人にやる気、意欲があるかどうか、そこがいちばん肝心なところだが、稀代の逸材・根尾昂なら、試してみれば捕手という仕事の興味深さが彼の野球的好奇心の琴線に触れるのではないかと、勝手に考えている。

 この国の野球の将来に少なからず危惧を抱いている者の、切なる願いである。

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