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中国資本を手に入れたウルブスと、
古豪エバートンがプレミア席巻中。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto press
posted2018/10/20 11:00
メガクラブが居並ぶ中で、ウルブスのようなチームが奮闘するのもプレミアリーグの面白さだ。
マンチェスター勢にドロー。
前述したポルトガル・コネクションに加え、中盤のコンダクターとしてジョアン・モウチーニョ、マンチェスター・ユナイテッドも触手を伸ばしていたレアンデル・デンドンケル、ポルトガル代表GKルイ・パトリシオといった即戦力を補強。前評判どおり、質量ともにトップ10も狙える陣容を整えた。
実際、マンチェスターの両巨頭との対戦ではともに1-1のドローに持ち込み、第8節を終えて4勝3分1敗。実力の一片を示しつつある。しかも、ゴールレスは1試合だけ。
中国資本であり、外国人中心の構成を嫌うイングランドのメディアは「破壊力不足」と指摘するが、ポゼッションを主体とするアタッキングフットボール志向であることに、なぜ気がつかないのだろうか。無粋なのか、見苦しい嫉妬か。
基本フォーメーションは3-4-2-1。中盤センターにネービスとモウチーニョを並べ、3バックの中央はリバプールの下部組織でプレーしていた当時から、“ミニ・ジェラード”ともいわれたコナー・コーディだ。
ロンドン勢との中盤戦がカギ。
彼らの卓越したパスワークにより、4試合でポゼッション率は対戦相手を上回っている。また、途中出場で違いを見せつけるアダマ・トラオレも要注目。ドリブルの切れ味はすさまじく、スピードは世界基準だ。ひょっとすると大化けする。
「順調なスタート。とくに大きな問題はない」
ジェフ・シー会長も満足気だ。しかし、第11節からのスケジュールがカギを握るのではないだろうか。トッテナム、アーセナル、2節おいてチェルシー。ロンドンのビッグ3と相次いで対戦する。
この3試合を五分で乗り切り、アーセナル戦とチェルシー戦の間に挟まれているハダーズフィールド、カーディフに勝てば、一気に加速する可能性も考えられる。「第一目標は残留」とヌーノ監督は控えめだが、選手層と序盤戦のパフォーマンスを見るかぎり、なんらかの仕事をやってのけそうな気配も漂いつつある。ロンドン勢との対戦が、いまから非常に楽しみだ。