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中国資本を手に入れたウルブスと、
古豪エバートンがプレミア席巻中。
posted2018/10/20 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto press
ついこの間まで、いやいや今シーズンが始まるまで、ウォルバーハンプトン(以下ウルブス)は取るに足らない存在だった。
イングランドリーグ(プレミアリーグの前身)を1950年代に3度制し、FAカップも1892-93シーズンを含んで4度、リーグカップは1970年代に2度優勝しているが、プレミアリーグ発足後の四半世紀は下部リーグに定住していた。
1970年代にジョン・リチャーズというイケメンがいたとか、元イングランド代表監督のグレン・ホドル、イタリア代表GKとして一世を風靡したワルター・ゼンガに率いられたシーズンもあるといったところで、トリビアとしてもイマイチの感は否めない。そうそう、北海道コンサドーレ札幌でプレーするジェイ・ボスロイドも、ほんの少しだけウルブスに所属していた。
しかしいま、“狼”が牙をむこうとしている。
敏腕エージェントと中国企業。
敏腕エージェントのジョルジュ・メンデス氏がアドバイザー的な役職に就くと、瞬く間に力をつけていった。みずからのコネクションを利用し、2016年7月に『復星国際』が買収した。
この中国企業の資金力を背景に、ヌーノ・エスピリト・サント監督、ルベン・ネービス、ディオゴ・ジョタなど、メンデス氏は同胞のポルトガル人を補強。一時は「リーグ1(実質3部)降格もある」とまでいわれたチームがメンデス氏の補強も奏功し、昨シーズンのチャンピオンシップ(実質2部)で30勝9分7敗。圧倒的な強さでプレミアリーグに昇格したのである。
「油断できない」「単なる昇格チームと考えていると痛い目に遭う」「トップ10……いや、ヨーロッパリーグの出場権も狙える」などなど、ウルブスの評価はシーズン前から高かった。