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非アスリートな稲垣吾郎が語る、
役者としてのモチベーション維持術。
text by
川村由莉子(Number編集部)Yuriko Kawamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/25 07:00
プールサイドで笑顔を見せる木村敬一選手、稲垣さん、山田拓朗選手。
稲垣がアスリートによくされる質問。
選手のおふたりからは稲垣さんには、こんな質問が飛び出した。
「どのように仕事のモチベーションを保っているんですか?」
「この質問、実はアスリートの方によくされるんですよね。僕は13、4歳からこの仕事をしているので、モチベーションを保つというより、まるで息を吸うかのように仕事しているんですけど……」
稲垣さんはそうはにかみながら、長きにわたり芸能界で活躍し続ける秘訣を語ってくれた。
「僕のような仕事は、普段の成果を発揮するのが、アスリートのように『ある瞬間』というわけではありません。アスリートの方々は、とある試合に標準を定め、そこに向かって努力を重ねていきます。そしてトレーニングの成果が発揮されるのは、試合の一度きり。常に『瞬間』の勝負をしていますよね?
でも僕らの場合、ちょっと違うんです。仮に生の舞台で失敗したとしても、明日も公演は続いていく。ですから、ゆるやかに、でも長くモチベーションを保てるように心がけています。調子が出ない日は『こんな日もあるかな』くらいの気持ちで無理をしないようにしていますね」
「勝負所」に「力み」は厳禁。
「ここぞ」という時の気合いの入れ方を問われると、こんな答えが返って来た。
「僕は『ここが勝負所だ』とか考えて力んでしまうと失敗することが多いんですよ。スポーツ選手には絶対に向いていないな(笑)」
アスリートにとっては毎試合すべてが「勝負所」である。しかしだからといって「力み」は競泳選手にとって大敵だという。
木村選手の場合、「リオの時は気合いが入りすぎてしまい、思うように力を発揮できなかった。泳いでも泳いでも1位に届かず、イライラもしていた」そうだ。2020年はメンタルのコントロールも上手くしていくことが課題であると話してくれた。