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内村航平が「できすぎ」と熱弁する、
体操・北園丈琉の潜在能力とは。

posted2018/10/25 08:00

 
内村航平が「できすぎ」と熱弁する、体操・北園丈琉の潜在能力とは。<Number Web> photograph by AFLO

10月21日に16歳の誕生日を迎えた北園。憧れの内村と一緒に2年後の東京五輪の舞台に立つことを目指す。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 体操ニッポンにとてつもない高校1年生が現れた。

 15歳から18歳までの若手アスリートを対象としたユースオリンピック(10月6日~18日、アルゼンチン・ブエノスアイレス)の体操競技で、北園丈琉(清風高校1年)が男子個人総合、種目別ゆか、つり輪、平行棒、鉄棒で金メダルを獲得。なんと5冠に輝いたのだ。

 身長148cm、体重45kgとまだまだ小柄ながら、秘めたポテンシャルの大きさは別格。清風中時代から「未来の金メダリスト」との評判をほしいままにしていたホープは、今回の快挙で世界中のメディアから「内村二世」と呼ばれる存在となった。

 圧巻劇の“序章”は5月19日に東京体育館で行なわれたユース五輪選考会だった。高1になったばかりの北園は、高3までの選手が出場する中で堂々たる演技を披露して優勝。わずか1枠しかない代表の座を見事に勝ち取った。

 しかも、驚くべきは若さだけではない。4月に左足首を疲労骨折していたのだ。

「けがは左足首のくるぶしの少し上。ゆかの蹴りでひびが入りました」

 ゆかと跳馬の練習をほとんど積めないままで選考会に臨み、体力的な不安もある中できっちりと6種目をこなしてトップになった。その精神力は際立っていた。

内村も中2の頃から注目した。

 まだある。ユース五輪代表権を手にして安堵の表情を浮かべたのもつかの間、選考会の直後に左足首を手術。その後は懸命なリハビリと技の強化を行ない、復帰初戦となった8月上旬のインターハイでは個人総合5位だったものの、同中旬の全日本ジュニア選手権では個人総合優勝。そして、10月のアルゼンチンでの大ブレークへと突き進んでいった。

 北園の能力に、いち早く高い関心を示していたのが内村航平だった。'17年1月に行なわれたナショナルチームとジュニアナショナルの合同トレーニングのときのことだ。内村は当時まだ中2だった北園に、鉄棒の技「アドラーひねり」のやり方を伝授した。

「普通は中学生に教えるような技じゃないんだけどね。かわいいからつい教えちゃいました」

【次ページ】 「高1にしてはできすぎ」

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池谷幸雄

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