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奥寺康彦から30年後、大迫勇也が。
ブレーメンに馴染むマルチな才能。 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2018/09/21 11:00

奥寺康彦から30年後、大迫勇也が。ブレーメンに馴染むマルチな才能。<Number Web> photograph by Getty Images

第2節フランクフルト戦で移籍後リーグ戦初ゴールを決めるなど、大迫勇也は順調なスタートを切っている。

チームを率いる35歳の若手監督。

 昨季のブレーメンは開幕から5分5敗で勝利のなかったアレクサンダー・ヌーリ監督を解任して、U-23監督を務めていたフロリアン・コーフェルト監督を後任としました。その新指揮官は期待に応えてチームを1部残留に導き、3年の契約延長を勝ち取りました。

 ブレーメンは2016年にもシーズン中に監督を交代していて、そのときはウクライナ人指揮官のビクトル・スクリプニク監督からU-23監督を務めていたヌーリ監督へ。つまり、今回も前回同様にアカデミーの指揮官を抜擢したわけです。

 ヌーリ前監督は37歳、コーフェルト監督は35歳。いずれも新進気鋭の若手指揮官です。加えてコーフェルト監督は、スクリプニク監督がチームを率いていた時代にアシスタントコーチに就いていて、当時はスクリプニク監督とともにチームの職を解かれているんです。なんだか複雑です。

 そんな事情もあって、当初はブレーメンには注目していませんでした。しかし、開幕のハノーファー戦(△1-1)、第2節フランクフルト戦(○2-1)、第3節ニュルンベルク戦(△1-1)を取材して、なかなか興味深いスタイルだと思い始めたのです。

大迫はウイングからボランチまで。

 コーフェルト監督が採用するシステムは4-2-3-1。GKはイリ・パブレンカ、4バックは右からテオドール・ゲブレセラシェ、ニクラス・モイサンデル、ミロシュ・ベリコビッチ、ルドビク・アウグスティンソンという不動のメンバーが並びます。

 ベリコビッチはロシアワールドカップのセルビア代表に名を連ねた22歳で、絶妙なボールコントロールと正確無比なキックを駆使する“私的大注目”のDFです。チリチリのくせっ毛で、冷静沈着にプレーする彼は『東欧のコンピューター』と呼びたいくらいです。

 ダブルボランチはフィリップ・バルグフレーデとマキシミリアン・エッゲシュタイン。M・エッゲシュタインは、ニュルンベルク戦で強烈な先制ミドルを打ち込んだ生え抜きの21歳。ちなみに、同じくニュルンベルク戦で途中出場を果たしたヨハネス・エッゲシュタインは年子の弟です。

 そして注目の3トップ。ワントップにチームキャプテンのマックス・クルーゼ、そして両翼にマルティン・ハルニクと大迫が入ります。大迫はハノーファー戦では右でしたが、フランクフルト戦では左。ゲーム途中に1トップ、トップ下、ボランチと移り、ニュルンベルク戦では左エリアで攻守両面に渡る貢献を求められました。

【次ページ】 3トップに求められる万能性。

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