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奥寺康彦から30年後、大迫勇也が。
ブレーメンに馴染むマルチな才能。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/09/21 11:00
第2節フランクフルト戦で移籍後リーグ戦初ゴールを決めるなど、大迫勇也は順調なスタートを切っている。
3トップに求められる万能性。
コーフェルト監督が3トップに求める役割は、プレーメイカーでありフィニッシャーであること。1トップにフィジカル能力が高く攻撃の起点になれるターゲットマンタイプを置く指揮官が多い中、コーフェルト監督はあえてMF的素養を備えるクルーゼを配備しています。
その理由は先述した通り、前線の3人の連係、連動からゴールを導く手法を追い求めているからです。
コーフェルト監督は言います。
「サイドラインに張り付いているだけのウインガーはいらない。その間のスペースを狙い、相手ゴールへ向かえる選手を求める。我々はオフェンスにおいて、非常にフレキシブルにポジションチェンジをしていきたいと考えている。だから、我々にとってトップにはマックス・クルーゼのような選手が必要になる」
実際に、クルーゼ、大迫、ハルニクの3人は積極的にポジションチェンジを仕掛けて様々なエリアへ侵入します。大迫とハルニクは今季チームへ加入したばかりですが、そのコンビネーション精度は日増しに高まっているように見えます。
歴戦の勇士ピサロもいまだ健在。
また途中出場するクラウディオ・ピサロが効いています。彼は今季、実に通算4度目となるブレーメン加入を果たしたレジェンド。開幕のハノーファー戦で途中出場を果たしたときはサポーターから大歓声で迎えられ、すぐさま好機に絡む名役者ぶりを発揮しました。
コーフェルト監督は「クラウディオは必ずしも先発候補ではないことを理解している。だが、彼のポジティブな力はチームに好影響を与える」と評価しています。ピサロは今年40歳。コーフェルト監督の4歳上です。
コーフェルト監督の攻撃スタイルはコンビネーションを駆使したアタック。そのために、各ポジションの選手たちはエリアやポジションに囚われない柔軟な発想が求められます。
ただ、ニュルンベルク戦ではウイングに守備面のタスクを多く与えたようで、それまでのゲームに比べると3トップのポジションチェンジが少なく、チームは先制しながらも試合終了間際に失点を喫してドローに終わっています。