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“派手な今野泰幸”はガンバを救うか。
復帰後は奪う、走る、そして吠える。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/09/20 17:00
ヴィッセル神戸戦では後半からイニエスタを監視して勝利に貢献するなど、今野泰幸の力は今もなお錆びついていない。
攻守両面ではっきり今野効果が。
今季は開幕前からバイタルエリアをケアするボランチの不足に悩まされ続けてきたガンバ大阪だが、同時に劣勢時、チームを鼓舞できるチームリーダーも不在だった。
宮本監督自身もそうであったが、山口智(現ガンバ大阪コーチ)や岩下敬輔、そして丹羽大輝ら、時に自らのミスを棚に上げてでもチームを叱咤したり、鼓舞したりする闘将の存在はやはり不可欠だ。
5月に右足首を手術し、地道なリハビリに励んできた今野は、約3カ月半ぶりとなるJ1の舞台で、やはり格の違いを見せつけるのだ。
バイタルエリアで川崎の攻撃の芽を摘み取るのはもちろん、敵陣深くでもプレスをかけられる機動力や、ボールを運んで攻撃へのスイッチを入れられるのが今野のストロングポイント。「正直、探り探りだった」と本音を口にした背番号15だったが、開始早々の8分には川崎のペナルティエリア付近でボール奪取。その流れから倉田秋の決定的なチャンスが生まれるなど攻守両面で「今野効果」は明らかだった。
宮本監督も「柱が一本通る」。
川崎戦をにらみ、3バックの導入と前年までのプレー映像をミーティングで見せるなどして球際の激しさをチームに落とし込んできた宮本監督は言う。
「ボールに対する執着心であるとか、奪ったボールを丁寧につないで、またさらにスペースをみつけて出て行くという今野本来の良さは、この3カ月のブランクを感じないぐらいのパフォーマンスだった」
川崎の強力な攻撃陣を封じ込め、2-0で勝ちきった一戦は、宮本監督の就任後、8試合目にして初めての無失点試合。「今野が戻って来れば、チームに守備の柱が一本通る」という指揮官の言葉に嘘はなかった。