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“派手な今野泰幸”はガンバを救うか。
復帰後は奪う、走る、そして吠える。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/09/20 17:00
ヴィッセル神戸戦では後半からイニエスタを監視して勝利に貢献するなど、今野泰幸の力は今もなお錆びついていない。
「まあ、派手でもいいけど」
あれから6年――。長谷川前監督の再コンバートによって日本屈指のボランチとして再生した今野は、ブラジルW杯ではCBとしての限界を感じたり、昨季はインサイドハーフで新境地を拓いたりと酸いも甘いも噛み分けてきた。
「6年前と違うのは自分の経験値。皆がしょんぼりしている時に暗い顔をするのではなくて、今、何をしないといけないかは自分で発信していきたい」
今季初の3連勝を賭けて挑む清水戦を含めて残されたリーグ戦はわずか8試合。恐らく万全のコンディションで試合に臨めることはないかもしれない。ただ、メンタル面はすでにフル充電済みだ。
「チームが勝てるプレーをしていきたいんで、地味ながら」と言い切った後、「まあ、派手でもいいけど」と付け加えるノリの良さは、好調の証だ。
近年例を見ない熾烈な争いとなりつつある残留戦線。今野はチームのために声を上げる覚悟も決めているという。
8月の課題だった試合のクローズ方を問われた鉄人の答えはあまりにもシンプルだった。
「声を出したもん勝ちでしょ、それは。大きな声で騒げばチームの意識もそうなる。皆で同じ考えを持たないといけないし、俺に自信がある時は、言っていきたい」
奪う。走る。そして吠える――。一味違う今野泰幸が見られるはずだ。