来た、見た、書いたBACK NUMBER
“派手な今野泰幸”はガンバを救うか。
復帰後は奪う、走る、そして吠える。
posted2018/09/20 17:00
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
宮本ガンバにとって、8月は悪夢のような試合の連続だった。
昨年までの指揮官、長谷川健太監督が率いるFC東京には後半アディショナルタイムの決勝点で勝ちきったものの8月のリーグ戦6試合は終わってみれば1勝2分け3敗。一向にトンネルを抜け出す気配がない、低調なチーム状態の原因はその失点データが雄弁すぎるほどに語っていた。
6試合で許したのは計11失点。
「前半はいい試合ができていることも多いが、後半の戦い方が課題」(三浦弦太)
11失点の全てが後半に喫したもので、1-0でリードしながら勝ちきれなかった磐田戦や札幌戦は、いずれも後半のアディショナルタイムに同点ゴールを献上。貴重な勝ち点3を逃してきたのである。
クラブ史上初の降格に泣いた6年前は、リーグ最強の攻撃力を誇りながらも、勝負どころで守備陣が崩壊。だが、今季の足取りを振り返ると得点数もリーグワースト2位で、失点もワースト5位。点も取れず、守りきれずという典型的な降格チームの「顔」になりつつあった。そんなチームが、「待ち人」の戦線復帰で蘇った。
川崎戦のスタメンに今野の姿が。
やはり残留争いの渦中にある鳥栖に完敗を喫し、いよいよ崖っぷちに追い詰められつつあったガンバ大阪が9月1日、ホームで迎え撃ったのが川崎だった。
リーグ最少得点の鳥栖相手に、後半だけで3失点。「現実的に戦わざるを得ない」と若き指揮官は、5バックに近い3バックを採用して前年王者に挑んだが、ピッチ上には6日前のJ3で53分間の試運転を終えていた今野泰幸の姿があった。
「(終盤に失点した)磐田戦とか名古屋戦とか、ああいう守備を締めるべき時間帯の役割を果たしてくれるのが今野。チームにとっての足りないピースというか、足りないものを補ってくれることを期待している」