Overseas ReportBACK NUMBER
ナイキの広告戦略に全米が驚愕。
反トランプの元NFL選手が前面に。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2018/09/08 09:00
サンフランシスコのNIKEストアの屋上に掲げられたキャパニックの広告。全米で物議を醸している。
レブロン、セリーナも賛意を。
トランプを支持する人たちの中にはすぐさま「#JustBurnIt(燃やしてしまえ)」「#BoycottNike(ナイキをボイコットしよう)」というハッシュタグをつけてSNSで配信し、同社の製品を燃やしたり、切り刻んだりする写真や動画をあげる過激な人まで出てきた。
ちなみに2016年の大統領選でトランプ氏の当選が決まった際、ニューバランスがトランプ氏を歓迎するような発言をすると、リベラルな若者たちが同社の製品を燃やしたりごみ箱に捨てたりする動画をSNSにアップしたように、ここ数年、企業が政治的な立場を示すと、それに反対する人たちが不買運動をしたり、製品を燃やしたりすることがアメリカの流れになっている。
今回はナショナリスト、白人至上主義者、共和党支持者などが、不買運動などの中心になっているのだろう。
反トランプ派として知られ、同社と契約しているレブロン・ジェームズは同社のツイートを、#JustDoItとのハッシュタグとともにリツイート。セリーナ・ウィリアムズは「ナイキの一員であることを今日は特に誇りに思う」とツイートし、同社に賛意を示した。
広告を打ち出した直後にナイキの株価は一時下がったが、ナイキの考え、行動に賛同する人たちが買い戻し現在は上昇している。
若者たちの“ナイキ離れ”が。
数年前からトレンドに敏感な10代、20代の若者たちのナイキ離れが進み、アディダスやニューバランスなどにシフトしていた。
NY在住の友人の「うちの小学生の息子が『靴はアディダスしか履かないからね。ジョーダンだったらナイキでもいいけど』とか言い出して困ってるんだよ」というボヤキを耳にしたことがあった。
その時には、おしゃれに気を使うティーンエージャーらしいな、でもちょっと生意気だな、と感じた程度でさして深く考えていなかった。