サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ロシア大会を褒められると心が痛む。
岡崎慎司の目標は、36歳でW杯。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/08/23 11:00
南ア、ブラジル、ロシア……予選で結果を残す一方、岡崎慎司は本大会で悔しさを味わっている。カタールでこそ、の思いが強くなるのは自然だろう。
W杯での熱狂はプレミア優勝以上。
ストライカーである岡崎は以前から「ゴール数は世界共通の評価だ。その数があれば、どこの国でも評価される」と話している。だから、プレミアでも毎シーズン、得点へのこだわりを抱き、模索し続けてきた。
ただ同時に、プレミアで高く評価されているのは「得点以外のプレー」で、岡崎の武器、セールスポイント、強みになっていることも理解している。その仕事をしたうえで、得点も決められるストライカーでありたいと常々口にしている。つまり、容易ではないミッション達成へ岡崎の挑戦は続いているのだ。契約満了の時期が近づき、得点という数字の持つ意味はさらに重くなるだろう。
かつてブンデスリーガで2シーズン連続2けたゴールをマークしたように、身を置く環境が変われば、まったく新しい武器を見出すことができるかもしれない。新天地への期待は、32歳という年齢、キャリアを持つからこそ、膨らむに違いない。ベテランだからこそ、適応力も高く、気づきも多いはずだから。
当然、移籍先がなければ、岡崎が描くビジョンは絵に描いた餅で終わるだろう。怪我が続いても同じだ。しかし「こんなこと言いながら、4年後は引退しているかもしれない」と笑う岡崎の言葉は、あらゆる可能性にトライし、チャレンジを続ける意欲に満ちていた。
「ワールドカップでの日本の熱狂に触れたとき、プレミアリーグ優勝でも敵わないんだと思った。その舞台で再びあの熱狂を味わいたい」
36歳でのワールドカップ出場。
岡崎を牽引するモチベーションとしては、これほど強固なものはないだろう。かつてない大きな夢を抱きながらも、欧州の主要リーグで闘い抜く毎日を堅実に生き続ける。