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新生インテルのキャラ濃すぎ問題。
クリロナも挑発する“オラオラ系”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/08/22 11:00

新生インテルのキャラ濃すぎ問題。クリロナも挑発する“オラオラ系”。<Number Web> photograph by AFLO

こんなにガラの悪いトップクラブはいつ以来だろう。そして、こんなに楽しみなクラブもいつ以来だろう。

我の強い“オラオラ系”が勢ぞろい。

 今月22日で21歳になるラウタロだが、とにかくふてぶてしい。

 登録名を「ありふれているから」という理由で本姓のマルティネスではなくファーストネームにしてほしいとクラブに要求したり、テストマッチでさんざん削られた後も「さして驚かないね。俺は(ラフプレー上等の)アルゼンチンから来たんだぜ」と言い放つ。

 だが、絶対王者ユーベを倒したいのなら、それぐらい我が強い方がいい。

 重戦車ビエリに怪物ロナウド、南米の激しさと狡猾さが人間の形になったシメオネやコルドバなど、モラッティ元会長時代のインテルには個性派や“暴れん坊”が集った。チームには主将サネッティ(現副会長)という良心があり、荒くれ者たちも彼には従った。

 翻って現在のキャプテンは、ランボルギーニをぶっ飛ばす“オラオラ系”のイカルディである。

 昨季2度目の得点王を獲ったイカルディは、同類のナインゴランが入団したことでさらに気を強くしているだろう。

 素行不良のせいでベルギー代表から外され、ロシアW杯に行けなかったナインゴランは、インテル移籍が決まった直後の7月初旬に自慢の愛車フェラーリで事故を起こしている。

監督は放任主義で個の才能を引き出す男。

 ひとつ間違えれば今季のインテルは愚連隊のように映るかもしれないし、スパレッティが凡百の監督なら彼らを規律とルールで押さえつけようとするかもしれない。

 だが、彼はそうはしない。

 選手たちはそれぞれ個性をもった大人なのだから、小言を並べるより自然体のままで気持よくプレーしてもらう方がいい。

 放任主義で個のポテンシャルを引き出すのが、昨季終了までに444試合もセリエAで采配を振るってきたスパレッティの流儀だ。

 だから、ナインゴランがローマ時代にしばしばSNSに飲酒や喫煙を含むナイトライフを投稿し炎上させても、本気で咎めたことはない。攻撃的MFとしての素質を開花させた愛弟子のインテル入団が決まると、あけすけにこう述べた。

「ラジャ(・ナインゴラン)は見た通りそのままの奔放な男だよ。世間体や良識という殻を持たずに生きている。そのことで彼は人生で損をしているかもしれないし、よそ様には嫌われるかもしれん。だが、我々の好みに合うのはあるがままの彼なのだ」

【次ページ】 「クリロナ、かかってこい」

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