欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
植田直通はベルギーの小クラブで
初めて守りの文化を味わい成長中。
posted2018/08/21 11:45
text by
中田徹Toru Nakata
photograph by
UNIPHOTO PRESS
同じヤン・ブレイデル・スタディオンを使用しているが、クラブ・ブルージュが2万8000人近い観客を集めるのに対し、セルクル・ブルージュの観客数は6000人ほど。それでもメインスタンド側はかなり埋まり、ゴール裏には熱狂的サポーターに加え、育成世代の子どもたちも陣取って声をからして応援している。
スタンドは閑散としているものの、意外と雰囲気は良い。
1899年創設という歴史と、小クラブながら1部リーグ常連である誇りが、セルクル・ブルージュの試合からは伝わってくる。
第4節、8月18日のズルテ・ワレヘム戦も、少ない観衆の大声援に後押しされたゲームだった。戦力で明らかに劣るセルクル・ブルージュは立ち上がり、相手にボールを明け渡し、ゴール裏のサポーターと共に自軍のゴールに鍵をかけた。
守備固めに植田直通が投入された。
ズルテ・ワレヘムは一方的にボールを持っているのにチャンスを作れない。その焦りを、セルクル・ブルージュは楽しむかのように守り、ジャブのようにカウンターを繰り出した。
攻撃陣には主にフランスで育ったタレントがいる。ボールを持った時の遊び心は格別だ。いったい彼らは何度、パナ(股抜き)を決め、ファンの喝采を浴びたことだろう。
セットプレーから先制し、PKで勝ち越し、後半アディショナルタイムには高速カウンターからダメ押しゴールを決めて3-1の勝利を飾った、セルクル・ブルージュの試合巧者ぶりが光った試合だった。
1-1で迎えた72分、セルクル・ブルージュがPKを獲得すると、アップをしていた控え選手たちが一斉にベンチ前に呼ばれ、交代カードをどう切るか説明を受けていた。
73分、ブルーノがPKを成功させ、セルクル・ブルージュが2-1と勝ち越すと、その4分後に植田直通が守備固めに入った。
システムを4バックから5バックに移行し、植田のポジションは3枚のセンターバックの右だった。