セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
新生インテルのキャラ濃すぎ問題。
クリロナも挑発する“オラオラ系”。
posted2018/08/22 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
パガーニ・ウアイラBCという怪物がいる。
インテルの新入団選手っぽい名前だが、4本のタイヤを履いている。V12ツインターボ・エンジンから最高速度370km/hを叩き出す、イタリア北部モデナ生まれの超弩級モンスターマシンだ。お値段は約2億9000万円也。
世界限定20台のうち、ミラノにある1台はとりわけ特別とされる。メタリックブルーと黒に塗り分けられ、リアウイングには“NERAZZURA(青黒)”のマーキング入り。夜な夜なミラノの街に怪音を轟かす主は、インテルの実質的なトップである御曹司スティーブン・張(チャン)だ。
真面目な理系大学生みたいな見た目に騙されてはいけない。
チャンは、公の場に出ればどんなビッグクラブの会長相手でも物怖じせず、名門のオーナーの御曹司として帝王然と振る舞う。かと思えば、チームの食事会に自慢のウアイラBCで乗り付け、歳近い選手たちからやんやの喝采を浴びながら、若大将としてチームを煽る。
「もう待つのは終わりだ。今年は徹底的に勝ちにいくぞ!」
ユーベOBが警戒する筆頭はインテル。
今季のセリエAがいよいよ開幕した。
スクデット7連覇王者ユベントスにC・ロナウドが加わり、今季も彼らのタイトル防衛は鉄板のように思えるが、現地の下馬評はそうでもない。
「インテルにもチャンスがある。ユーベは突出した優勝候補とはいえない」('82年スペインW杯優勝DFクラウディオ・ジェンティーレ)
「アンチ・ユーベの一番手は紛れもなくインテルだ」('90年代の名DFモレノ・トリチェッリ)
ユベントスのOBたちや現地紙は異口同音に今季のセリエAでユーベの対抗馬となるのはインテルである、と断じている。
スパレッティ体制2年目の彼らには、十分に優勝争いできるだけの戦力が揃ったからだ。